米Googleは6月25日(米国時間)、現地で開催された開発者会議「Google I/O 2014」において、次期モバイルOSとなる「Android "L"」の開発者プレビューを公開した。Androidでは珍しい正式発表前のプレビュー版公開だが、今回は64bit対応や仮想マシンのDalvikから「ART」への入れ替えと、主に根幹に関わる部分の変更点が多く、テスト期間を長めにしたという意図もみえる。同時に「Chromebook上でAndroidアプリが動作可能になる」という話題も出ており、Googleのクライアント向けプラットフォームで大きな動きが出てきた。今回、このあたりのGoogleのクライアント戦略を一度整理し、今後どのような変化が出てくるのかを考察していく。

なぜAndroid "L"を早めに公開したのか

冒頭でも触れたが、Googleが正式発表前のAndroid OSを公開するのは珍しい。おそらく、プレビュー版配布まで考えると初のケースだとみられる。通常であれば正式発表後にソースコードを公開し、Nexusデバイス向けのOTA配布を開始する手順を取り、他の多くのユーザーは最新版OSが搭載されたデバイスが実際に市場で販売開始される数ヶ月後から半年近く触れないケースが一般的だ。開発中のベータ版段階では一部の契約メーカーやデベロッパー以外、最新版のAndroid OSには触れられないようになっており、Ice Cream Sandwich以降ではこれが特に顕著だった。こうしたソースコードに触れられるタイミングの差はデベロッパーの間でも不満のタネとなっていたとみられる。

だが今回、Googleは開発者を含む多くのユーザーにプレビュー版段階の最新Android OSを公開した。理由はやはり冒頭でも挙げたとおり、正式公開までのテスト期間を取る必要があるとの判断があったとみられる。Android 4.4 "KitKat"で初めてDalvikに代わるJava仮想マシン(JavaVM)である「ART」が試験導入されたが、デフォルトの仮想マシンはDalvikのままであり、ARTを利用する場合は明示的に選択しておく必要があった。

Android "L"でデフォルトの仮想マシンとなる「ART」