CarPlay対抗馬としての「Android Auto」

「L」の発表はAndroidの順調な進化と成熟を感じさせるもので、その外見を特徴づけるMaterial Designを取り入れた「Android Wear」も事前の発表を上回るインパクトを感じたが、以降の発表のうち、いくつかはiOS 8(および開発フレームワーク群)を意識せざるをえず、両者の比較なしには語ることが難しい。

たとえば、車載システムとの連携機能「Android Auto」はiOSの「CarPlay」と機能的に近い。CarPlayは受信側デバイス(自動車に搭載されたタッチパネル)からの信号をiOSデバイスに戻すなど双方向性機能がくわえられているものの、AirPlayミラーリングを基礎としたデュアルディスプレイ機構の一種。デモ映像を材料とした推測となるが、自動車へのデータ送信が有線経由であること、音声による指示やナビゲーション機能など、基盤技術を含めCarPlayと同等と見てよさそうだ。

車載システムとの連携機能「Android Auto」。ナビゲーション機能や音楽ストリーミングなど、Googleのサービス利用した機能が提供される

AppleのCarPlay同様、車載システムとAndroid端末はケーブルで接続される

Spotifyやtuneinといったサードパーティーの音楽ストリーミングサービスもAndroid Autoに対応する

CarPlayに対してアドバンテージがあるとすれば、充実した地図関連技術(Google Maps)を除けば「Open Automotive Alliance(OAA)」の存在が挙げられる。同団体は、2014年1月に自動車メーカーを中心とした40超の企業とともにGoogleが設立したもので、Androidと統合された自動車の開発を目指している。デモの最後には、その"同志"の面々が披露されたが、うち25以上の企業とAndroid Auto搭載について契約締結済、搭載車両は年内にも発売されるそうだ。トヨタやBMW、メルセデス・ベンツなど巨大メーカーの名は見えないものの、地図サービスなどGoogleならではの強力なバックグラウンドもあり、地先行するCarPlayに対しての有力な対抗馬となるだろう。

日産やホンダ、マツダや三菱など日本企業のほか、独Audiや伊FIATなどの大手自動車メーカーが参加する「Open Automotive Alliance」がAndroid Autoに対応する