Amazon S3を利用するにあたって
今回、Amazon S3を使ったが、無料で利用できるのは5GBで1年間である。1年ではやや短いし、5GBというのもやや容量的に不安がある。まずは、同じ環境がいくらかかるかを調べてみよう。AWSでは、簡易見積りツールを用意している。
図27 AWS簡易見積りツール |
まず、無料利用と同じ環境は、3.01ドルとなった。Amazon S3は、ECサイトなども想定しているので、リクエスト数などで細かく課金される。個人のバックアップ用に使う場合には、リクエストなどはここまで必要ないだろう。さらに、データ転送(Data Transfer)はinがほとんどとなる(課金的にはoutの方が高い)。このあたりをふまえ、ストレージを20GB、リクエストは2,000(これは、2,0000でも料金的に変わらないが)、データ転送のinを40GB、outを20GBにすると、4.5ドルとなった。
ちなみに、Dropboxで100GBの場合は、月額で9.99ドルである。同様の見積りでは、Amazon Sは月額23.22ドルであった。単純に比較をするのは難しいが、一般的なクラウドサービスよりは割高といってもいいだろう。図27にもあるが、これまでも値下げが行われており、今後も下がるだろう。それ以上に筆者が注目したいのは、転送速度である。バックアップ容量は、最近のPCの利用状況ならば、GB単位になることは少なくない。となると、転送速度がバックアップの大きな負荷になりかねない。今回、Amazon S3を使った印象では、相当速いであった。このあたりは、評価してもよいだろう。
一方、問題点としては、ネットワーク環境がなければ、バックアップも復元もできない点である。この対策としては、外付けHDDや光学メディアなどにもバックアップ作成するという方法がある(アイテムを複数作成すればいいだけだ)。冗長性は高まるが、手間も増えるのが難点となる。さらにOneDriveやDropboxでは、ネットワークが不通でもローカルキャッシュを設定することで対応可能となる。しかし、そのままローカルストレージを消費するので、こちらの問題も検討する必要があるだろう。
クラウドストレージも多様なサービスが提供されるようになった。Backup Platinum 5では、OneDriveやDropboxもバックアップ先としても使用できる。料金や容量などを比較し、こちらも検討してみてもよいだろう。そして、Amazon S3にもデフォルトで対応したことで、選択肢も増え、使い勝手も向上したといえる。Backup Platinum 5の柔軟性を活用し、万全のバックアップ体制を構築してほしい。