日本アルテラは6月17日、都内でプライベートイベント「Altera SoC Symposium」を開催、同社代表取締役社長であるハンス・チュアン氏が、現状の同社を取り巻く状況を説明し、同社のFPGAやSoC FPGA製品がこれまで以上にさまざまな分野で活用されていることを紹介した。

冒頭、同氏は「プログラマビリティの付加価値が、さまざまなシステムにおいて重要な差別化要因になってきた」と説明。特に最近は、コスト面と性能面の両方から注目を集めるようになってきたという。

日本アルテラの代表取締役社長であるハンス・チュアン氏

半導体のコストはプロセスの微細化や回路規模の増大にともない年々上昇してきており、今やマスクコストやレイアウトコストだけをみても20~30億円規模になってきており、相応の個数の販売が見込めなければ投資コストに見合わなくなってきている。それに対し同氏は、「FPGAは1個のデバイスでさまざまな顧客に活用してもらえるため、逆に手ごろな値段で利用できるデバイスとしてのメリットを認識してもらえるようになってきた」と、ASICやASSPを設計・製造するのに比べて有利になってきたことを強調する。

一方の性能面としても、「プロセッサ上でさまざまなソフトウェアを走らせれば、フレキシビリティを確保することができるが、それでパフォーマンスを向上させようと思えば、高周波数のマルチコアを搭載する必要があり、必然的に消費電力があがってしまう。逆に性能重視で回路をハード化して固定してしまえば、フレキシビリティが減るほか、開発コストも増大するというジレンマが生じる」とのことで、Alteraとしてはそうした両者の長所を統合したSoC FPGAを提供することで、従来のFPGAのプログラマビリティとパフォーマンスの両立を提案しているほか、ハードマクロのARMプロセッサやDSPブロックなどを活用することによる差別化などを提案しているとする。

SoC FPGAは現在、第3世代まで開発が進んでいることがアナウンスされており、こうした提案を背景に2013年から2014年にかけて、FPGAが従来使われてきた放送・通信機器や医療機器などだけでなく、これまでASIC/ASSPやマイコンを使ってきたユーザーが興味を示すようになってきており、産業機器や車載機器などで本格的に利用する検討が進んできたという。特に、車載関連ではカーナビゲーションなどの利用ではなく、自動車のフロントカメラシステムに搭載し、人物/物体検知などを行うADAS(Advanced Driving Assistant System)システムや、レーダーとイメージセンサを組み合わせたセンサフュージョンADASシステムなどでも活用が進んできたという。

同氏は同社のビジョンとして「あらゆる機器にAlteraの製品を搭載させていきたい」を掲げており、今後、さらなるローコスト製品や性能向上に向けたOpenCLの活用などを含めた、実際にカスタマが利用可能なソリューションの拡充を進めていくことを強調。カスタマからも、どういった機能が欲しいという要望をもらえれば、そうしたニーズに沿った開発も行っていくとするほか、さまざまなパートナーのソリューションも日本のパートナー含めて展開を進めていくことで、幅広い取り組みを同社が行っていることを知ってもらい、FPGAやSoC FPGAを活用していってもらえればとした。

Alteraが提唱するシリコン・コンバージェンスとそれを実現するSoC FPGAのロードマップ