人気の高級コンパクトカメラ「Cyber-shot RX100」シリーズの第3弾として、ソニーから「DSC-RX100M3」が登場した。1型の大きなセンサーサイズを受け継ぎながら、レンズとワイド化と大口径化、最短撮影距離の短縮、EVFの新設、チルト可動液晶の強化などを図ったモデルである。その機能と使い勝手、画質をチェックしてみよう。

「Cyber-shot DSC-RX100 III」

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シリーズの初代モデル「DSC-RX100」が2012年に発売されたときは、そのレンズスペックの高さに感心した。胸ポケットに収まる小型軽量ボディと、1型の大型CMOSセンサーを両立しつつ、35mm判換算で28~100mm相当の焦点距離を備え、開放値はワイド端F1.8、テレ端F4.9に対応。常時携帯に適したスナップデジカメとして、これでもう何でも撮れるとさえ思った。

翌2013年には、2代目「DSC-RX100M2」が登場した。レンズ性能を継承しつつ、センサーの改良や液晶のチルト可動化、ホットシューの搭載など実現。外部ストロボや外部ファインダーが装着可能になったことでさらに撮影領域が広がった。

そして今回の「DSC-RX100M3」である。いちばんの注目は、焦点距離24~70mm相当、開放値F1.8~2.8の新レンズを搭載したこと。これまでの2台に比べると、焦点距離がワイド側にシフトしたことで広角撮影にいっそう有利になった。たとえば狭い室内での撮影や大きな建造物などを撮る際は、28mm相当よりも24mm相当のほうが明らかに使いやすい。一方で、テレ側が100mm相当から70mm相当へと弱くなったことは少々残念なところ。ただ個人的にはこのクラスのカメラで撮るスナップはワイド側のほうが使用頻度が高いので、この仕様変更は歓迎だ。

【左】前モデルに比べて9g重くなったが、ボディの幅と高さは維持。手のひらに収まるコンパクトボディだ 【右】沈胴式の光学2.9倍ズームを新搭載。ズーミングは、シャッターボタンの回りにあるズームレバーで操作する

テレ端の開放値がF2.8といっそう明るくなったことは、手ブレや被写体ブレを抑えつつ、むやみにISO感度を高めずに撮影できるメリットがある。ボケに関しては、実際の焦点距離が8.8~25.7mmとそもそも短いためあまり期待できないが、近接撮影の場合にはそれなりにボケる。

さらに、最短撮影距離も進化した。これまではテレ端の最短は55cm(ワイド端5cm)で物足りなさがあったが、本モデルではテレ端30cm(ワイド端5cm)に新対応。植物などの接写用途にも役立つ。これまでと同じく、マクロモードに切り替えることなく、最短撮影距離まで近寄れるのも便利だ。

【左】レンズ鏡胴部のコントロールリングや背面の各種ボタンは、割り当て機能のカスタマイズができる 【中】Fnボタンを押した際に表示されるファンクションメニューについても、自分流にカスタマイズ可能だ 【右】ズームのテレ端によるマクロ撮影。撮影モード:絞り優先AE(F5 1/400秒) 露出補正:±0 感度:ISO125 WB:太陽光 クリエイティブスタイル:スタンダード 焦点距離:25.7mm(原寸大画像を見る)