仕様策定が進むOCuLink

さて、次の話題はOCuLink(Photo08)。現在0.7がReleaseされ、0.9の仕様策定に向けて開発が進んでいる状況である。実は展示会場で一社くらいサンプルを出してるんじゃないかと思ったのだが、残念ながら展示はなく、なのでこのイラストのみである。

Photo08:「Thunderboltとの競合をどう考えるか」という質問に対し、「我々は仕様を策定する立場で製品を作るわけではない」という返答があった。まぁThunderboltでGen3/Gen4の信号を流すのはかなりキツいと思われるので、案外競合はしないような気がするが

OCuLinkに関しては、2012年2013年にもそれぞれレポートしているが、低価格のCable Specificationである。今回は割と細かい話も聞けたので、それらもまとめておさらいすると

  • PCIe x1/x2/x4に対応するCablingの規格
  • SpeedはGen1からGen4までに対応
  • 当初はCupperベース。それが一段落してからOpticalに移行する。
  • Cupperも、最初はPassive Cableを念頭に置いているが、もちろんActive Cableも利用可能
  • ケーブル長は1~2m程度(Cu Passiveの場合)。これを超えるケースはActiveもしくはOptical
  • 5Vで最大10WのPower Deliveryをサポート(Option扱い)するほか、Active Cable向けに3.3Vの供給ピンを2本用意する。ただし出力は最大でも1.5W程度で、レーンあたりの供給電力は0.35W以下にすべきであるというガイドラインが出ている。
  • 送信と受信は異なる配線となる。先に3.3Vが2ピン出ているとしたが、これは送信側と受信側にそれぞれ3.3V/1.5Wが供給されるという形になる。
  • コネクタは、現在想定しているのは0.5mmピッチのSMTタイプになる。またExternal Cableのほかに、筐体内部の接続に利用するInternal Cableも考慮している(こちらはフラットケーブルになる模様)

といったあたりであろうか。ちなみにPower Deliveryや3.3Vに関しては、Revision 0.7のものをベースにした話なので、今後変わる可能性がまだある事に注意されたい。

コネクタの物理的なサイズなどははっきりしないが、非公式に公開されたイラストを見る限り、レセプタクル部(Photo08のイラストで茶色の部分)そのものはUSB Standard-Aレセプタクルの1.5倍程度の幅と、USB Mini-Bレセプタクルと同程度の高さになるようだ。

ラフにいえば2cm×7mm位であろうか? 奥行き(コネクタ部全体の長さ)は相応に長くなるようだ。ちなみにPhoto08のイラストは、この構造でx1~x4まで全部対応になるようで、2本のケーブルの片方には送信側の信号線がまとめて、もう片方には受信側の信号線がまとめて内蔵される形になるのだろう。

このOCuLinkは先にも書いたとおり、現在0.9の策定に向けて作業中であり、トラブルがなければ今年後半には仕様策定が完了する。早ければ今年のホリデーシーズンには対応デバイスがリリースされるかもしれない、との事だった。

SFF-8639

次がSFF-8639への対応である(Photo09)。SFF-8639に関する仕様の話はこちらで以前説明した通りであるが、こちらの作業もPCI-SIGで行っている。

Photo09:こちらはサーバー向けベンダー以外にほとんど興味ないためか、今回は技術セッションでもこれに関するPreviewなどは特になし。最終的にはPCIe 3.0のCEM(Card Electrical Mechanical Specification)に統合されるようだ

「そもそも何でPCI-SIGがこれをやるの?」と確認したところ「SFF CommitteeのはMechanical Specificationのみを定めており、ここにPCI Expressを通すための電気的な仕様まではカバーしておらず、これを標準化してほしいという要望がベンダーからあったから」(Neshati氏)という話であった。

ちなみにこれを利用したStorageは、CPUから見るとある種のRAIDの様に見えるそうである。これはこの写真の下側の注釈を見ると分かるが、ePCIe/SATAe/SAS4の3種類の信号が混在する形になっている。例えばSAS4として使えば、この先に複数のSASデバイスをMultiplexer経由で搭載することになるし、PCIeとして使えばx4レーンのPCIeデバイスになる。このあたりは、どういう使い方をするかによって変わる形となる。

2012年のレポートからの違いとしては、明確にHot Plug/Swapへの対応が明記されたことと、Gen3の8GT/secに加えてGen4の16GT/secも視野に入れたことだろうか。既に3月にRevision 0.7がReleaseされ、現在は0.9の仕様策定作業を行っている状態である。さすがにモノがモノだけに、ホリデーシーズンに製品を出したいという要望はまず無いと思う(し、恐らく0.9→1.0の検証には時間が掛かるだろう)から、仕様策定が完了するのは2015年に入ってからであろう。