HomeKit、HealthKit、PhotoKitといったフレームワークも、アップルが作法を用意したことで、ようやく開発者は連携サービスを作れるようになったが、従来の箱庭に新しい広場を作ったぐらいで、何か特別なイノベーションがあるわけではない。

各種Kitをもとに開発者は連携サービスを作れるように。写真はHealthKit

とはいえ、アプリそれぞれのデータを一つにまとめて管理できるのは、家庭のデジタル製品やヘルスケア製品のような、複数の製品の情報を扱うジャンルには適している。

さまざまなセンサー製品と連携して情報を取り出すヘルスケア製品はすでに一般的に使われているし、エアコンやドアキー、インターホンなどとの連携も、製品は多く登場してきている。ユーザーが複数アプリの使い勝手に悩んでいる時期に、それを一括してまとめられる「Kit」を用意するあたり、さすがのタイミングだ。

これは一つの大きな変化だ。箱庭に個別に建っていて連絡も取り合えなかった各戸の家に電話線を引き、広場を作ってコミュニケーションできるようにしたのは、セキュリティ的なめどが立ったのかもしれないし、満を持しての解放なのかもしれない。UIもiOSの作法で洗練した操作性で扱えれば、ユーザーにとってもメリットは大きいし、最小限のアプリの開発で、洗練されたiOSのUIでサービスを見せられる、という開発側のメリットにもつながるだろう。