Dassault Systemsの日本法人であるダッソー・システムズは6月2日、都内でプライベートイベント「3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2014」を開催。これに合わせて、記者向け説明会を開催し、同社社長兼CEOのベルナール・シャーレス(Bernard Charles)氏ならびに同エグゼクティブ・バイス・プレジデントのモニカ・メンギニ(Monica Menghini)氏が、同社の現状と新ブランド「BIOVIA」などについての説明を行った。

実は日本法人であるダッソー・システムズは、1994年6月2日に設立されたとのことで、冒頭、同社の代表取締役社長である鍛冶屋清二氏が挨拶を行い、「現在、3Dエクスペリエンスカンパニーを目指して、ユーザーのBtoBtoCのビジネスのサポートに向けた環境作りを進めている」とし、国内でも約500名のスタッフがグループの一員として活躍しているとしたほか、今年から本社の権限をローカルに委譲し、地域に合わせたビジネスを展開していくことを世界各地で展開し始めており、日本もより地域に密着したビジネスを今後、推進していくとした。

設立から20年を経た日本法人の従業員数の推移。現在、500名を超す規模にまで成長してきたという

Dassault Systemsの社長兼CEOであるBernard Charles氏

そんな同社についてCharles氏は、「顧客に対してソリューションを提供する際に、持続可能な開発を実現していく点に注意して投資を行っている。特に買収は1カ月に1回の割合で進めているほか、全世界43拠点のR&Dセンターに加え、4つのクラウド拠点があるが、2014年中にさらに3つのクラウド拠点を追加する計画である」と、継続した投資を実行していくことを披露した。

また、Menghini氏は、「ものづくり産業は、単なる製品を提供するのではなく、エクスペリエンス(経験/体験)を提供する必要が生じるようになってきた。新しい体験の提供をどうやって実現するのか、という疑問を3Dプラットフォームの活用が解決してくれる。それは、単に設計・製造の現場だけに留まらず、企業の中のすべての部門が必要とするエクスペリエンスを提供できるようにならなければ意味がない」とのことで、2014年初頭に買収したRealtime Technology(RTT)のツールを「3DXCITE」として提供することで、これまで販促用にデータなどを別途起こしていたマーケティングチームなどが、設計部隊が持つ3Dデータなどを活用して、CMなどに手軽に再利用できるような環境が整ったとした。

左の写真の右端に写っているのがDassaultのエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるMonica Menghini氏。エンドユーザーは単なるモノを購入するのではなく、その上に存在するエクスペリエンスを手に入れるためにそのものを購入する。その実現のために、同社のPLMが存在する、というのが同社の主張

また、2014年5月には化学、バイオサイエンス、およびマテリアル分野向け科学的イノベーション・ライフサイクル・マネジメント・ソフトウェアを手掛ける「Accelrys」を買収。同会見にて、AccelrysのソリューションがDassaultの最新ブランド「BIOVIA」として立ち上げたことを発表した。

BIOVIAはライフサイエンスやマテリアルサイエンス向けに提供されるソリューションで、同社では、生物学、化学、素材・材料のモデリング、シミュレーションおよび生産の各領域において、最も幅広く、充実したポートフォリオとなるとしている。

このBIOVIAについてCharles氏は、「ユーザーを驚かせ、新しい可能性を提示するためには、将来はあらゆる分野がつながっていく必要がある。これらの投資を行っても、Dassaultは決してデザインやシミュレーションを忘れたわけではない。今後はバイオ分野や分子化学などを含めて、幅広い分野に対してマルチアプローチを行っていく」と語ったほか、「ライフサイエンス市場は大きな市場であり、そのデジタル化については複数の段階がある。BIOVIAは研究開発分野で活用されているが、BIOVIAだけで市場のすべてをカバーすることはできず、だからこそ3Dエクスペリエンスのパワーを使って対応していく必要がある。材料分野はすべての産業に影響を及ぼすし、ヒトの細胞のシミュレーションなども実現できるようになってきた。そうした分野に対し、いかにソリューションを発展させていくか、今後に期待してもらいたい」とPLM分野においてバイオ関連市場が将来の有望市場であることを強調した。

次世代の3Dエクスペリエンスには、単なるPLMではなく、その枠を超えたソリューションが必要となってくる。そのために同社は足りない部分を買収することで、補完を進めているという