6月28日より新宿ピカデリーほかにて全国ロードショーとなる『her/世界でひとつの彼女』の監督を務めたスパイク・ジョーンズと、同作で衣装デザインを担当したケイシー・ストームが来日し、Apple Store銀座で開催されたイベント「Meet the Filmmaker」に登壇した。

『her/世界でひとつの彼女』6月28日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

「Meet the Filmmaker」は第一線で活躍する映画作家の生の声が聞けるという人気イベント。これまで、フランソワ・オゾン、山田洋次、是枝裕和らが登場している。今回は野村訓市がMCを担当し、スパイクとケイシーは、本年度のアカデミー賞脚本賞を受賞した『her/世界でひとつの彼女』の見所や制作秘話を語った。

スパイクは4年半ぶりとなる来日について「日本のカルチャーは未知のもの。日本独特のビジュアルを楽しんでます」とコメント。六本木や原宿、渋谷を歩き回り、夜はカラオケを楽しんだという。

スパイク・ジョーンズ(左)とケイシー・ストーム

本作は、主人公・セオドア(ホアキン・フェニックス)と人工知能型OS(声:スカーレット・ヨハンソン)が恋に落ちるというラブ・ストーリーが主体となってるが、このことに関し、野村から着想のきっかけは? という質問が投げられた。それに対し、スパイクは「5年前に脚本を書き始めた時は、人とテクノロジーの関係を描きたかったわけではないんです。リアルに、誠実に、人と心を通わせるのはとても難しいことです。今、テクノロジーのせいで人と関係が築けないと言われていますが、昔だって別の事を言い訳に同じような事が起こっていました。コミュニケーションの形は日々変わるし、今は情報量も多いです。そんな中で人と親密になる事の挑戦を描くためのテーマでした」と答えた。テクノロジーにフォーカスするのではなく、人と人との関わりを描いた作品ということなのだろう。

また、近未来を描いた作品ということで、登場人物はやや風変わりな服を纏っている。ハイウェストなど印象的な衣装だ。これについては、ケイシーが「スパイクたちと最初にミーティングを重ねていた時は、具体的にどんなエモーションを求めているのか話し合いました。それをいかに衣装に反映させるかをね。この映画は未来ではなく、過去にさかのぼって表現しています。セオドアという古典的な名前やハイウェスト、セオドアのひげなどは1920年代を意識してるんです。トレンドというものはある程度の周期で回っているんですが、この年代だけはなぜか戻ってきていないように感じていたので、この映画ではそれを意識しました」と答えてくれた。

イベントの最後には、カラオケをとても楽しんだいうケイシーがエミネムの『Lose Yourself』を披露。大歓声の中、イベントは終了した。なお、当日の模様はビデオPodcastとして配信されるとのことなので、こちらも映画の上映とともに楽しみにしておいて頂きたい。

(提供:iPad iPhone Wire)