さて、このAFの速さがもっとも問われるのが、運動会撮影のメインイベントともいえる徒競走である。しかも困ったことに撮影ポイントがゴールの正面に位置することが多いため、被写体はカメラに向かって走ってくることになる。これはAFが非常に苦手とする状況だ。
しかし、PowerShot SX700 HSには、AFそのものの速さに加えて、AFフレーム「顔優先AiAF」があり、被写体の顔を検出してピントを合わせてくれる。これを利用することで、徒競走でもしっかりとピントの合った写真を容易に撮影できるのだ。余談だが、流行りの1型や1/1.7型くらいの大型センサーを積んだコンデジは画質面こそ有利ながら、ピント合わせにおいてはPowerShot SX700 HSのような1/2.3型センサーの方が有利であることも覚えておくといいだろう。
また、約8.5枚/秒(最大4枚)の高速連写が可能。ドライブ設定を切り替えなくても、モードダイヤルで「スポーツ」を選ぶと、自動的に連写がオンになる(AFフレームは選べない)。ここぞというシーンで連写を使えば、ゴールの瞬間などのドラマチックな一瞬を手にすることもできる。
競技だけが運動会ではない。応援中や出番を待っているときのふとした表情も、かけがえのないワンシーンだ。こんなときは、被写体の顔を追尾してピントを合わせる方法が便利。操作は、本体側面のフレーミングアシストボタンを押し、コントローラーホイールの露出補正ボタンを押して追尾する顔を選択すればOK。選択された顔がしっかり収まるように、自動でズーミングまで調整してくれる。数人の友達が一緒にフレームに収まりつつ、ピントは我が子!というときなどに効果を発揮する機能だ。
慣れてきたら、流し撮りにも挑戦してみよう。モードダイヤルを「シャッター速度優先」(Tv)にして、シャッター速度を1/200~1/300くらいに合わせて、被写体をフレーミングしながらシャッターを切る。シャッターを切っている間もカメラは被写体を追うように動かし続けるのがコツ。
焦点距離約350mm相当でシャッター速度1/200秒だと、このように背景が大きく流れる |
焦点距離約325mm相当、シャッター速度は1/400秒。シャッター速度は速めの方が被写体を止めやすいが、背景の流れは小さくなる |
小学校も高学年のリレー選手ともなると、コンデジで撮るのは非常に難しい。高速の動体を上手に捕らえるには、やはりファインダー付きの一眼レフの方がはるかにラクだ。とはいえ、PowerShot SX700 HSはレンズ交換も不要、荷物が多くなりがちな運動会でもポケットに入れて持って行ける。当然、一日中使っても疲れ知らず。重い一眼レフとレンズを振り回した結果、翌日は全身筋肉痛で仕事にならない……なんてこともない。
画質や作品性までも追求するなら一眼レフには敵うべくもないが、コンデジにはコンデジの良さも山ほどある。もちろん、すべてのコンデジが「運動会で使える」とはいえず、むしろそのハードルをクリアできるのはほんの一握りの機種だろう。そして、PowerShot SX700 HSがそのうちの稀少な一台であることは間違いない。