インテルは12日、都内で定例の記者会見を開催。5月11日に販売が開始された新CPU「Haswell Refresh」(開発コード名)と新チップセット「Intel 9」シリーズを正式に発表し、その概要を説明したほか、NUCやSSDといった最新製品やチャネルへの取り組みを紹介した。
インテル 技術本部 統括部長 秋庭正之氏 |
既報の通りだが、Haswell Refreshは従来の第4世代Intel Coreプロセッサ(開発コード名:Haswell)から動作周波数を引き上げたモデル。標準消費電力版12モデルと型番に「S」や「T」がついた低消費電力版14モデルの合計26モデルをラインナップする。
今回投入された製品はいずれも倍率が固定されたモデルで、型番に「K」が付いた倍率アンロックモデル(開発コード名:Devil's Canyon)は2014年半ばに登場が予定されている。
一方の「Intel 9シリーズ」は、旧世代の「Intel 8」シリーズチップセットをベースとしていくつかの機能を拡張したチップセットで、「Intel Z97 Express」と「Intel H97 Express」の2モデルをそろえる。Haswell/Haswell Refreshに加えて、"Broadwell"の開発コード名で知られる第5世代Intel Coreプロセッサに対応する。
■「Intel 9シリーズ」のレビューはこちら
【レビュー】Intel Z97 Express搭載マザーボード「Z97-DELUXE NFC&WLC」を試す
「Intel Z97 Express」と「Intel H97 Express」では、「Intel Z97 Express」がオーバークロックに対応する点、「Intel H97 Express」ではソフトウェアモニタやUSBブロッカーといった企業向け機能を提供するIntel Small Business Advantageに対応する点が異なっている。
Intel 8シリーズから強化された機能は3つで、まず挙げられるのがPCI Express接続のM.2ストレージに対応した点。Intel 9シリーズでは、PCI Express 2.0 x2を利用することで、最大1,000MB/sの伝送を実現するという。またM.2ストレージはブートデバイスのほか、HDDのキャッシュとしても利用できるとしている。
2点目はIntel Rapid Storage Technology(RST)の強化で、新バージョンのIntel RST 13では、キャッシュ用SSD内蔵した「SSHD」(Solid State HD)に対応し、パフォーマンスが向上したほか、Intel Rapid Start Technologyによるレジューム高速化やIntel Smart Connect Technologyでの自動更新をサポートする。
3点目はIntel Device Protection Technologyで、BIOSの改ざんを検知してPCが起動する前にシステムを停止する。
エンスージアスト向けのファンサイト「Intel Club Extreme」を開設
インテル リセラーチャネル事業部長 早船淳司氏 |
会見ではチャネルへの取り組みも紹介された。インテル リセラーチャネル事業部長の早船淳司氏によると、チャネルへの取り組みとして「リセラーの支援」「NUCやSSDといった製品」「2in1 PCやタブレット製品」「知覚によるコンピュータ利用」(Perceptual Computing)「デスクトップPC」に注力しているという。
「リセラーの支援」としては、「Intel Technology Provider Program」によるサポートを行う。「Intel Technology Provider Program」では、会員向けに業界の最新動情報を提供する専用Webサイトや販売店の店員などに向けてのトレーニング、マーケティング素材などを提供する。
NUCについては、POSやデジタルサイネージといったインテルが「PC-like embedded」と呼ぶ業務端末向けの製品として、Bay Trail世代のAtom E3815を搭載したベアボーン「DE3815TYKHE」を紹介した。
「DE3815TYKHE」はUSB 3.0やUSB 2.0ポート、HDMI、D-sub、GigabitEthernetのほか、4GBのeMMCストレージや液晶パネルに給電可能なeDP(embedded DisplayPort)などを実装している。マザーボード自体のサイズは通常のNUC規格と変わらないが、ケースは長方形で、ケース内のスペースに利用用途に応じたデバイスを拡張することができる。
「2in1 PCやタブレット製品」では、販売支援に加え、製品の安定供給に向けたサポートを行い、「知覚によるコンピュータ利用」(Perceptual Computing)に対してはパートナーと協力しながら取り組んでいくとしている。
最後の「デスクトップPC」については、チャネル向けに出荷するボックス版プロセッサが好調で、売上でみてもタブレットやノートPCを超えるほどだという。インテルでは引き続き、デスクトップ市場の活性化に向けて注力するとのことで、取り組みの1つとして紹介したのがPentium登場20年を祝っての特別モデル「Pentium Anniversary Edition」だ。
「Pentium Anniversary Edition」は、2014年3月にアナウンス済みだが、Pentiumグレードの倍率アンロックモデルで、これまでPentiumグレードでは無効にされていたQSV(Quick Sync Video)が有効となる。出荷は2014年半ばの予定だ。
また、デスクトップPC向けの取り組みとして、エンスージアスト向けのファンサイト「Intel Club Extreme」の開設を発表した。「Intel Club Extreme」は、外で「Intel Club Enthusiast」として展開する取り組みを日本国内向けにアレンジしたもので、映像制作やCGデザインに携わるクリエイターやPCゲーマーといった、ハイエンドCPUを必要とするユーザーを対象としている
メンバーに対して、Intel製品情報やレビュー、イベントの告知といったコンテンツの提供を予定する。将来的にはゲーム大会やコンテストといったオフサイトイベントの開催や、型番にKが付いた倍率アンロックに対応したハイエンドCPUの購入者を対象とした特典も検討している。
なお、Intel Club Extreme」の開設に伴い、「早期登録キャンペーン」を実施する。2014年7月30日までのキャンペーン期間中に、メンバー登録をしたユーザーを対象として、「Intel SSD 730」シリーズの240GBモデルが当たる抽選会を行う。
「Intel SSD 730」シリーズの紹介も
インテル クラウド・コンピューティング事業本部 事業開発マネージャー 幸村裕子氏 |
さて、その「Intel SSD 730」シリーズについて、インテル クラウド・コンピューティング事業本部 事業開発マネージャー 幸村裕子氏による製品紹介が行われた。「Intel SSD 730」シリーズは、2014年3月に発表されたコンシューマ向けSSDの新モデル。コントローラにデータセンター向けSSD「Intel SSD DC S3700/S3500」シリーズでも使われている第3世代の自社製コントローラを採用した点が特徴だ。
幸村氏によると「コントローラをそのまま搭載したというわけではなく、コントローラとNANDのクロックを上げたり、コンシューマ向けにファームウェアの最適化を行っている」という。
Intelによる「Iometer」を使ったベンチマークテストの結果では、競合製品が仕様を下回る数値だったのに対し、「Intel SSD 730」では仕様を上回ったほか、RAID 0構築時に台数に比例して性能が向上したという。加えて、幸村氏は「Intel SSD 730」は、データセンター向けSSDの特徴を受け継ぎ、長時間にわたる使用でも「常に安定した性能」を発揮できると強調した。