Apple、Amazon、教育市場を狙うテクノロジー企業

今回、デジタルと教育が取り巻く環境について少し整理していきたい。まずはテクノロジー企業の動向だ。

コンシューマー向けの製品を提供している巨大企業で教育についての言及が多いのがAppleだ。Appleは以前まではMac、現在はiPadで、教育市場への取り組みをアピールし続けている。例えば、最新の2014年第2四半期決算では、iPadの出荷台数の減少はあったが、教育市場で95%のシェアを誇っている点を強調している。その分、世界中での事例も多いのではないだろうか。

米国に限らず、日本でもこうしたタブレットを活用する学校が増えてくる中、ニューヨーク市内で小学校に通う日本人の父兄に話を聞くと、こんな効果を実感していた。

「教科書やノートではなかなか子どもの学習を追い切れなかったが、iPadを使っていると、家に自分のタブレットにも同じアプリを入れて、一緒に勉強の時間を作ることで、子どもが何を勉強しているのかがすぐにわかるようになりました」

また、こうした市場に対して動きを強めつつあるのがAmazonだ。

Amazonは昨年、Ten Marksという企業を買収した。このサービスは数学の授業向けに、先生がオンラインでバーチャルな教室環境を再現することができる仕組みで、生徒は選択式の問題を解いていき、点数に応じてバッジを獲得したりゲームを楽しむことができる。またわからない点は3~5分のビデオによる解説を聴ける。

子どもが進んで数学を学習できる環境を提供するだけでなく、教室での授業のサポートや、授業に関する父兄とのコミュニケーションにも生かすことができる仕組みで、Amazon買収の段階で、すでに10万の教室で300万人以上が利用していた。

これとは別に、電子書籍プラットホームのKindleでは、8割引で教科書が読めるレンタルサービスを行っている。またKindleでは自由に書籍を出すことができ、先生が自分の教科書を公開したり販売することも可能だ。同様の機能として、Appleはよりインタラクティブな教科書が作成できるiBooks AuthorをMac向けに無償で提供し、iBookstoreで販売できるようになっている。

テクノロジー企業が教育分野に取り組むのは、ブランドの面に加えて、デバイスやプラットホームへの早期の囲い込みというゴールがある。特に後者の場合、デバイスやサービスを通じていかに自社プラットホームのユーザーを増やすかという命題の中で、学校に採用されたり、学習目的で利用する教育ユーザーを増やすことは、将来に対する大きな資産を得ることになる。

Ten MarksのWebページ