4月4日、YouTubeのAMD公式チャネルに"AMD's Top Secret Mission"という名称で謎の動画が上がったが、この中身がやっと公開された(Photo01)ので、紹介したい。

Photo01:"Melius est ergo duos esse simul quam" このラテン語を英語にすると"Stronger together than apart"で「二人は一人に勝る」。これはR9 295X2のシンボルだそうだ

開発コード名「HYDRA」(ヒュドラ:本来は9つの頭を持つ怪物の名前だが、どっかで残り7つを落としたらしい)という名称で開発されたのが、今回発表された「AMD Radeon R9 295X2」である(Photo02)。

Photo02:Photo01の画像は双頭の蛇ということらしい。要するにGPUコアが2つあるのに掛けてある訳だ

搭載されるコアはHawaiiとして知られる28nm世代のもので、これがDual構成となっている。当然ながら性能はきっちり倍で、最大11.5TFLOPSに達するとしている(Photo03)。メモリ帯域は、これもそれぞれ512bit幅が維持されており、容量は8GBに及ぶ(Photo04)。

Photo03:説明を行ったDevon Nekechuk氏(Senior Product Manager)曰く「先日NVIDIAもDual GPUの発表を行った。どちらが上とは言わないが、この数字を比較してほしい」とのこと。ちなみにそのGeForce TITAN Zの性能は8TFlopsと発表されている

Photo04:ちなみにメモリの速度そのものは5Gbpsだが、搭載されているのはHynixの6Gbps品であり、これは安定動作のマージン+オーバークロック用とのこと

消費電力は後で説明するとして、当然ながら放熱は大問題である。R9 290XのTDPは250Wであり、これがDualだと500Wである。これに関して、ついに標準でASETEKの水冷ソリューションを搭載することになった(Photo05)。

Photo05:ASETEKは既に幾つかのGPU用水冷クーラーを提供しているが(例えばこれ)、Dual GPU向けの標準品はない。よってR9 295X2向けのスペシャルとなる

ちなみにこのR9 295X2は(これも後述するが)かなりの高価格帯商品だけに、ユーザーに所有する喜びを与えたいということで、あえて質感が高く、かつ重さのある構成となっている(Photo06)。

Photo06:とはいえ重くなると「どうやって支えるんだ」という話は出る訳で、OEM向けにカードリテンションについて話し合いをしているそうだ

具体的にはアルミニウム+マグネシウムという構成で重さを確保するとともに、特に表面はパウダーメタル塗装をすることで大幅に質感を高めたとしている。またFan内部やカード上側にはLEDを仕込んで光る工夫も施されている(Photo07)。

Photo07:特にファン部については、GPU負荷に応じて輝度が変わる仕組みも仕込まれているらしいが、筆者が確認した限りではよくわからなかった

さて内部であるが、分解写真は後ほど示すとして、基本的には4層構成である(Photo08)。中央のファンは、ちょうど基板中央にある電源レギュレータ部をメインに、ヒートシンク全体を冷やす形になる。

Photo08:基本的に冷却はラジエータ側がメインで、こちらのファンは補助的な役割になる

性能に関しては後ほどベンチマークテストで細かくみるが、AMDの資料によると3DMarkの値はこのようになっている(Photo09)。続くPhoto10が主要な製品のスペック比較であるが、何が恐ろしいかというと、R9 295X2のスペックはわずかであるがR9 290Xを上回っていること。

Photo09:Firestrikeで14000超え、という話。勿論この数字は環境によっても異なるが、筆者の環境でも14000は超えた

Photo10:ちなみに最大消費電力は? と聞いたところ、通常10%のマージンを取っているので、最大は550Wと考えてもらえばよいという話だった。550Wである

R9 290Xが定格で最大1GHz動作なのに対し、R9 295X2は最大1018MHzまで引き上げられている。そりゃTDPが500Wに達するのも無理はない。それもあってか、カードそのものは2スロット幅ぎりぎりの大きさに仕上がっている(Photo11)。

Photo11:細かい寸法は後述。一番不安なのは、120mmのラジエータ1台で本当に連続運用できるのか? だが、Nekechuk氏によれば大丈夫らしい