Kepler GPUベースのグラフィックス専用マシン「IRAY VCA」

IRAY VCAは、Kepler GPUを利用したグラフィックス専用マシン。これを利用することで、リアルタイムにリアリティのある画像を生成できる。デモとしては、自動車の設計時により実物に近い画像を生成するもの(本田技研が協力)が行われた。また、実際に撮影した写真と建物の設計データから生成したCG画像を比較するデモもあった。

片方の写真は、CGで作成し、もう一方は実際に撮影した写真だという

高いリアリティのグラフィックス生成を可能にするIRAY VCA レンダリングアプライアンス。8つのKepler GPUを搭載

IRAY VACを使って作られた自動車のグラフィックス。普通の写真のようにみえるが、GPUによるグラフィックスなので、内部を見せるカットモデルでの表示も可能

MaxwellアーキテクチャのGPUを搭載する次々世代Tegra

Tegra系のプロセッサに関しては、すでに今年1月のCESでTegra K1が発表されたが、同プロセッサでは、Keplerアーキテクチャが採用される予定だ。さらに今回は、その次のデバイスとしてコードネーム「Erista」と呼ばれるプロセッサが紹介された。これは、MaxwellアーキテクチャのGPUを搭載する製品だ。NVIDAは過去にTegraのロードマップを発表しており、5世代目となるTegra K1の位置にはコードネームで「Logan」と呼ばれたプロセッサが置かれており、その後継はParkerというコードネームとされていた。

モバイルプロセッサTegraシリーズの最新ロードマップ。かつては、Eristaの位置に「Stark」、「Parker」といったコードネームがあった。ただし、昨年のGTCで公開されたロードマップにあったParkerは計画としてはなくなってはおらず、Eristaが前に割り込んだ形になるという

このPakerは、NVIDIAの64bit ARMv8プロセッサの開発プロジェクト「Denver」との組み合わせとされていたが、Tegra K1に、Deverを利用するものが含まれたため、少し計画が変更になったようだ。「Erista」は、米国の漫画であるX-Menシリーズ(映画化もされている)の登場人物の一人「Wolverine」の息子の名前であり、「Erista」がTegra k1と直接的な後継関係があることを暗示しているかのようである。また、関係者の話によるとPakerは計画自体がなくなったのではなく、Eristaが先に「割り込んだ」形になるという。「Parker」というコードネームはEristaのあとに登場するプロセッサで使われることになるかもしれない。

Tegraシリーズは、K1で、Keplerアーキテクチャを採用し、今後は、メインストリームのGPUが採用されるとなっており、EristaでMaxwellアーキテクチャが採用されるなら、その後継となるTegraでは、Pascalが採用されることになると思われる。そうなると、ARMv8アーキテクチャのDenverとNVLINKの組み合わせもありえるだろう。それには時間がかかるため、先にDenverとKeplerの組み合わせを行ったのがK1で、後継のEristaでMaxwellと統合、そのあとになるParkerでPascalという順序なのかもしれない。

今回のGTCの大きなポイントの1つは、「車載用GPU」で、セッションにも自動車関係のものがある。最後のデモは、Audiの自動運転のデモ。ステージには、無人で動く実車が登場。その制御には、Jetson TK1を利用した制御システムが採用された。Jetson TK1採用以前のプロトタイプでは、後部トランク全体を占めていた制御システムは、後部側面に格納可能な小さなモジュールになったという。

Audiの自動運転実験車。かつては、背景左側の写真のように後部トランクを占有していた制御システムは、現在では、右側の写真のように小さなモジュールになって、トランク側面の青い部分に収まる大きさになったという

モジュールのモックアップを見せるジェンセン氏。モジュール全体は公開されておらず、大きさを示すためにモックアップが使われた