オランダRoyal DSMは3月10日(米国時間)、同社グループ会社であるDSMニュートリショナル・プロダクツが助成する形で実施された英国オックスフォード大学の研究チームによる研究の結果、長鎖オメガ3、特にDHA(ドコサヘキサエン酸)を補給した児童群は、連続的な睡眠を中断する短い時間帯でる「覚醒エピソード」が7回減少し、睡眠持続時間も一晩で58分延長される結果を得たこと、ならびに親による評価をもとに、良好な睡眠が取れているとされる児童ほど血中DHA濃度が高い可能性があることが示唆されたと発表した。

同成果の詳細は、欧州睡眠学会の専門誌「Journal of Sleep Research」に掲載された。

今回の研究は、英国オックスフォードシャー州の公立学校から募集した、読解力が標準以下の7~9歳の児童(362名)を母集団とし、1日600mgの藻類由来DHAを16週間補給した児童群では、トウモロコシ/大豆油のプラセボを補給した児童群に比べて睡眠が改善されるかを確認することを目的に実施された。

「アクティグラフィ(休息-活動サイクルの非侵襲的測定法)」と親が記入した児童の睡眠日誌を基に、無作為に抽出した43名の児童の睡眠パターンの客観的評価を実施。アクティグラフィでは、「入眠時刻と起床時刻」、「睡眠持続時間(分)」、「入眠してから起床するまでの覚醒時間(分)」、「睡眠効率(就床時間に対する総睡眠時間の割合)」、「睡眠潜時(入眠するまでにかかる時間(分))」、「入眠後の覚醒回数」の各変数について5晩にわたり測定をしたところ、臨床試験では睡眠に関する測定値に有意な効果は示されなかった一方、藻類由来DHA 補給児童群のアクティグラフィ測定結果では、プラセボ群よりも覚醒エピソードが平均で7回少なく、一晩あたりの睡眠時間も58分長くなったことが、親への「Children's Sleep Habits Questionnaire(CSHQ:子供の睡眠習慣質問票)」を用いたアンケート調査から判明したとする。

また研究では、参加児童(395人)の大規模疫学サンプルを用いて、指先穿刺で採取した血液サンプルの血中脂肪酸濃度とCSHQによる主観的睡眠評価との関連性についての分析も実施。親や保護者に、標準的な1週間の児童の睡眠習慣を45項目にわたって3段階で評価してもらったところ、40%の児童に臨床レベルの睡眠障害のあることが判明したほか、血中DHA濃度が高いほど、寝つきの悪さ、睡眠時異常行動、睡眠障害全般といった問題が少なく良好な睡眠を取れているという有意な関連性が確認されたとする。さらに、DHAと長鎖オメガ6脂肪酸である「ARA(アラキドン酸)」の割合が高いほど、睡眠障害が少なくなるということも確認されたとする。