ヤフーは3月11日、2011年3月11日から3年目が経つことに合わせてYahoo! JAPANのトップページで「東北の復興への思い」を表現した特集を行なっている。今回、同社のソーシャルアクション室 プランナーの永 順太郎氏とCOO事業推進本部 スタートページ・プロダクトマネージャーの堀口 義介氏に、東日本大震災に対するヤフーのこれまで、これからについて話を伺った。
Yahoo! JAPANのトップページ全体を利用した取り組みでは、広告企画が話題になることが多いが、1年前にも東日本大震災の復興を支援する取り組みの一環でトップページ変更を行なっている。
堀口氏は、昨年のトップページ変更を「震災前後で被災地の環境は大きく変わってしまったが、見上げる空は震災前も今も変わらない想いを込めた」と振り返る。被災3県の磐梯山(福島)や室根山(岩手)、蔵王連峰(宮城)という代表的な山々を重ね合わせて表現することで、東北への意識を忘れないでほしい気持ちを表わしたが、今回は衛星写真を利用することで、「3年目、3.11は東北が注目されるべきだと思い、東北自身をそのまま利用した」のだという。
「今回はスマートフォン向けにも最適化サイトを作るため、PC向けと合わせて多くの方に"気付き"を持ってもらえると思う。普段、ヤフーがこういう取り組みを見てほしいというのはあまりない。365日のうち360日が白背景で粛々とやっているからこそ、このような大事な日に1日だけこの取り組みができるし、見てほしい」(堀口氏)
下記の動画かYahoo! JAPANのトップページを見てもらえるとわかるが、日本地図の上に、通常のヤフートップのリンク、そして白い雲が別々のレイヤーで表現されており、復興への取り組みを行なっている被災地住民の取り組みを紹介する「東日本大震災から3年 つながろう、明日も」にグラフィカルに遷移しているのが見て取れる。
復興の取り組みを紹介するページでは、被災主要3県、あまちゃんの三陸鉄道や福島県産の農作物生産者の6エピソードをヤフー社員が生身で取材している。堀口氏は「私たちが提供するコンテンツは、基本的にパートナー企業のコンテンツをいただいて掲載しているが、震災については実際に足を運んで話を伺うことに重点を置いた」と取材の意義を語る。
コンテンツ製作側としても尽力した永さんも「石巻復興ベースがあり、地に足を付けているからこそできたことだと思う。そこを接点として復興デパートメントの取り組みや"アカモク"のブランド展開支援といった被災地が立ち上がれるような支援ができている」と、被災地との密接な関係作りが重要な要素だとする。
もちろん、ビジネス視点だけではドライになってしまうとも話し、「Yahoo!ショッピングに東北のものを入れれば良いという話ではなく、より深いものを伝えた方がヤフーユーザーの方にも被災地を知ってもらえるし、暖かい想いも込めて被災地の商品を購入してもらえると嬉しい」と、この取り組みを通して知ってほしい被災者の苦悩をくみ取ってほしい想いを話した。
被災地のと関係作りという点では、石巻復興ベースが果たしている役割は非常に大きい。「復興ベースは自由な場所。近所の人がフラッと入ってきて、おばちゃんたちが井戸端会議をやっていたり、学生が宿題をやりに来たりしている。ヤフー社員が5人ほど地元に移住して運営しているが、本来はネット企業の社員というところでサービスを作るのが基本なのに、その枠をはみ出してネット企業以上のやってやろうとしている。この姿勢は復興支援だけではなく、仕事としても見本になる」と堀口氏は話す。永氏も「彼らのやろうとしていることは応援したい」と同調していた。