600gと10mmを切るこだわり

Mebius Padの製品化に当たって目指したのは、いつも持ち歩き、モバイル環境で利用できるサイズ、重量、そして使用感の実現である。笛田チーフは、「この点には、こだわりぬいた」と強い口調で語る。

Mebius Padは薄さ約9.5mm、重量は約595g、それでいて、バッテリー駆動時間は約15.5時間の長時間駆動を実現した。

「600gを切るという重量は、持ち出して使うという点では、ぎりぎりの重量だと考えている。また、薄さが1cmを超えるとやはり厚さが気になる。これは以前から導き出していた数値。600gと10mmを切るという点には本当にこだわった」(笛田チーフ)。

本体の薄さは約9.5mm。「1cmを超えない」というこだわりのもと、製作された

もちろん、それよりも重たく、厚みがあるタブレットは少なくない。それをモバイル環境で利用しているユーザーも少なくない。

だが、笛田チーフは次のように語る。「Mebius Padが目指したのは、いつも持ち出して使ってもらうということ。ちょっと重たい、ちょっと厚みがあるというだけで、持ち出すことを一瞬躊躇してしまうようなデバイスは作りたくなかった」。ここに600gと10mmを切るこだわりがある。

ある教育関係者の言葉が、笛田チーフには強い印象として残っている。それは、少し重たいだけで、生徒はPCを家に持って帰らず、家でPCを使って宿題をしなくなる。あるいは、家に持って帰ると、今度は学校にPCを持ってこないことが発生しがちになるという声だった。

手軽に持ち出してもらうためのサイズ、重量を実現しなければ、本当の意味でモバイルデバイスとしての威力を発揮しないと考えた上でのスペックがMebius Padのものづくりの根底にはある。

LTEとBay Trail、防水、防塵の実現

持ち出して利用するという点での追求は、薄さや重量だけではない。NTTドコモのXiによるLTEを搭載したのも、常にモバイル環境での接続を実現すること、そして、Windows 8.1およびBay Trailと呼ばれたAtom Z3770の搭載も、モバイル環境で利用するためのパフォーマンスを達成するためのものだ。

Meibus PadはIPX5/7準拠の防水性能、IP5X準拠の防塵性能、LTE通信モジュール、そしてBay TrailことAtom Z3770を搭載。「今が必要な機能を全て搭載できるタブレットを実現できるタイミングだった」という

「実は、法人向けタブレットの製品企画は、長い間取り組んでいた。だが、モバイル環境で利用するパフォーマンスを考えた場合、一世代前となるClover Trailでは不十分であると考えた。持ち出せるから、ここまでのスペックで勘弁してほしいという言い訳はしたくない。そして、持ち出して、場所を選ばずに使うには、防水、防塵も実現したい。それにはファンレスで動作することが適している。それらの要素を考えた結果、今こそが、シャープが目指すタブレットが実現できるタイミングだった」とする。

そして、セキュリティに関しても、ワンビとの提携により、遠隔データ消去を可能とする「TRUST DELETE Biz」のトライアル版を標準搭載。LTEとの組み合わせによって、紛失した場合にも遠隔地から操作して、データを消去するといったことが可能だ。また堅牢性についても、社内の基準を満たした仕様となっている。