「国内か国外かは結果論にすぎないので、ご要望があれば海外提供も視野に入れています」と香川氏。

バリューコマースでは、アフィリエイトと密接な関連性があるポイントサービス「バリューポイントクラブ」にも注力していくという。このサービスは、ポイントサイト経由で商品を購入するとキャッシュバックが受けられるものだが、今までアフィリエイターたちは任意で参加していた。そこで10月に規約を変更し、より手軽に多くのアフィリエイターたちに使ってもらえるようにした。

この取り組みについて香川氏は「たとえばレビュー記事を掲載されているようなアフィリエイターの方々も、レビュー対象となる製品を少しでも安く購入したいはずです。そこでバリューポイントクラブを通じて、より手軽に製品の購入費用へ還元する仕組みを整えました」と語る。

レビュー記事は資料ベースでも書けないことはないが、当然ながら実体験ベースの方が閲覧者にとって価値が高いものとなる。実際、自分で使ってみて本当に良い物だけを紹介するようなアフィリエイターは、多くの閲覧者から信頼を得ている。この信頼を積み重ねた結果、レビュー記事で紹介すると製品の販売数が数万個単位でアップするようなトップアフィリエイターも存在するのだ。

インターネット広告配信サービス「ストアマッチ」の海外提供も視野に

ここまでは、業界特有の存在であるアフィリエイター向けに特化した顧客満足度の向上施策を述べてきたが、香川氏は「弊社にとってはアフィリエイターを含むメディアパートナーやECサイトなど、すべてが重要な顧客です。そこで、アフィリエイター以外の方々に対しても顧客満足度の向上を目指していきます」と語る。

そのひとつが、オンラインモールに出店するストア向けクリック課金型のインターネット広告配信サービス「ストアマッチ」の拡充だ。ストアマッチでは、キーワードと連動したストア広告を検索結果やカテゴリ、特集などに掲載する「ストアのイチオシ」、及び商品カテゴリに合致した商品を持つストアが本サービスに申し込むことでオンラインモール上に広告を掲載できる「アイテムマッチ」をラインアップ。現在はYahoo!ショッピングのみに提供しているが、これをその他の事業会社にも提供する予定があるという。 「国内か国外かは結果論にすぎないので、ご要望があれば海外提供も視野に入れています」と香川氏は語る。

アプリの多言語化サービスなども提供予定

そのほか、バリューコマースではスマートフォン向けアプリに関する新たなサービスも展開予定だ。同社はこれまで、国内のレビューサイトにアプリレビューを一括申請できるサービス「Applis(アプリス)」を提供してきた。この延長として、アプリの多言語化サービスを考えている。

「海外のアプリを使っている方は多いと思いますが、それと同様に日本のデベロッパーからは海外のユーザーへアプローチしたいという需要があります。これはアプリを多言語化対応するだけで大きく変わりますし、逆に海外のデベロッパーへ向けて日本のマーケットでアプリを紹介するような展開も考えています」と語る。

このように、バリューコマースでは顧客満足度の向上をベースとして、あらゆる方向での事業展開を進めている。最後に香川氏は「今後も顧客満足度の向上を目指し、できるものはなるべく早く、難易度が高いものは継続して取り組むなど、地道にコツコツやっていきます。

東京オリンピックが開催される2020年に向けて、インターネット業界を含めて日本全体がさらなる加速を見せると思いますので、その一翼を担うような存在を目指したいですね」と語ってくれた。