多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることもありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「どうしてGoogleはスマートフォン製造から撤退するの?」という質問に答えます。
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1月29日、中国Lenovoが米GoogleからMotorola Mobility(以下、Motorola)のスマートフォン事業を買収すると発表しました。Motorolaは北米やラテンアメリカでスマートフォンのシェア第3位を有しており、アジア圏向けに安価なスマートフォンを出荷するLenovoにとっては魅力に映ったのでしょう。2005年にIBMのPC部門を買収し成功を収めた経験から、Motorolaというブランドが成長市場で発揮する効果を見込んでいるとも考えられます。
注目すべきは、29.1億ドル(約2972億円)という買収額です。Motorola Mobilityという企業は、Googleが2011年8月に125億ドルで買収したもの。差し引き96億ドルが目減りした計算になりますが、その間にセットトップボックス事業などいくつかの資産が売却されていますから、実際の損は大幅に少なくなります。
ただし、Googleには"じゅうぶん元をとった"という計算があると考えられます。その理由は、Motorolaが所有する特許の大部分がGoogleに残るということ。Lenovoに売却されるのは、現行のスマートフォンおよび開発中の製品です。
そもそもGoogleは、膨大な数のモバイル通信関連特許を掌中に収めるべく、Motorolaの買収に踏み切った経緯があります。2011年8月の買収時に公開された公式ブログ)にも、MicrosoftやAppleを含む企業がAndroidに対し特許紛争をしかけているため、Googleが保有する特許群を強化する必要がある、という論旨が展開されています。
その事実を踏まえれば、もともとGoogleはハードウェアとしてのスマートフォン製造を目的としていなかったとも考えられます。数十億ドルという目減り分も、プラットフォームとしてのAndroidを推進したいGoogleにとっては痛手ではないのかもしれません。
(記事提供: AndroWire編集部)