ユーザーの声を取り入れた変化

レノボ・ジャパン デザイン/ユーザーエクスペリエンス 部長 高橋知之氏

新世代のThinkPadのデザインについて、レノボ・ジャパン デザイン/ユーザーエクスペリエンス 部長 高橋知之氏のプレゼンテーションで解説が行われた。

高橋氏は「業務PCの機種選定がエンドユーザーに委ねられるようになって、ビジネスユースと個人ユースの境界があいまいになってきた。ThinkPadはこれまでプロ仕様のコンセプトでデザインを行ってきたが、いまや"プロ"の実像も変化し、コンシューマに近づいてきている」と説明する。

新世代ThinkPadへの背景

レノボでは新しい世代の製品開発に向けて、さまざまな国で「ThinkPadを愛用するユーザー」「レノボ以外の製品に精通するユーザー」「ネット世代(=新しい世代)」というユーザー層を対象に調査を行った。

各国でユーザー調査を実施

調査によって、エンドユーザーはThinkPadに対して「よりシンプルでモダンなデザイン」「色や仕上げに加えて、製品に採用する材質も重要」「先進的なインタラクション」「単なるノートPCを超えたブランド展開」といった点について期待をしているという結果が得られた。

「われわれはこれまでもシンプルでモダンな製品を目指してきたが、振り返ってみると"プロ仕様"がベースだった」と話す。例えば色の使い方として、これまでThinkPadではFnキーと組み合わせで利用できる機能を青色でキーに印字していた。しかし、調査の結果「色が多すぎる」として支持が得られなかったという。

思ったようにエンドユーザーの支持が得られていないケースも

「確実な操作性が第一であるプロの現場で視認性の高さなどは重要な要素だが、日常にある製品としては過剰に目立つ印象を与えてしまう」(高橋氏)

レノボではユーザーからのフィードバックを基に、色や形を細部にわたって見直し、新たな世代のThinkPadをデザインしたという。2013年に発表した製品にも採用されているコンセプトだが、シンプルでモダンな形を追求し、世代を重ねるごとに堅牢性を強調するディテールを減らして、日常の生活に溶け込むようなデザインに、色はつや消しの黒から暖かみがある黒で少し光沢がある仕上げへと変化した。

このほか、広い面積の5ボタンクリックパッドや180度まで開いて完全に平らにできるディスプレイを備える。

さて、「新しいThinkPad X1 Carbon」ではキー配列の変更も話題となっていたが、こちらに関しても、ユーザー調査を重ねて検討したものだという。「日本語配列とUS配列ではキーの利用頻度や重要性が異なっている。新しいキーボードのローカライズに当たっては、ワールドワイド以上にユーザー調査を行った」(高橋氏)。

キーボードも刷新

その一例として高橋氏が紹介したのは、キーの利用頻度と入力の仕方を調査したもので、BackSpaceのように利用頻度が高いキーは、ユーザーが手元を見ずに打つので位置を変えずに、「¥」キーのような利用頻度が低いキーは手元を確認しながら打つので、位置を変更しても許容されると考えたという。

日本語キーボードには日本独自の調査を行い、キー配列を検討

もちろんUS配列と異なる部分もでてくる

BackSpaceとDeleteはUS配列と日本語配列で逆の位置になっているのだが、これも調査から得られた原則に従ったもの。従来のUS配列でのBackSpaceはキーが長いため左側を押すが、日本語配列の場合はキーが小さいので、右上を押すことになるとして、これまでの使い勝手を考慮して現在の配置に落ち着いた。

最後に高橋氏は「新世代のThinkPadがビジネスとプライベートの両面で、ユーザーの方のパートナーとして活躍することを期待している」と述べた。