本連載ではAppleが取り組むiPhoneやモバイルサービス、そしてこれから作りだされる未来の生活について、ジャーナリストの松村太郎氏が深読み、先読みしながら考えていく。第2回のテーマは「iPhone後継モデル、ディスプレイは曲がるのか? 大型化するのか?」について。
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スマートフォンの進化の中で、ディスプレイはとても大きなポジションを占めるようになった。AppleはiPhone 4で、それまでのディスプレイよりも高精細に表示ができるようにし、「Retinaディスプレイ」という言葉を作った。しかしiPhone 5で4インチへと画面サイズを拡大するまでは、初代iPhoneと同じ3.5インチサイズを守ってきた。
そうした中で、Androidスマートフォンは、5インチクラスへと画面サイズを拡大させたり、有機ELを活用して消費電力を抑えたり、フルHDを表示可能にするディスプレイを搭載するなど、スペック面でiPhoneを大きく上回った。スマートフォンの大きな画面はタブレットの境界を曖昧にし、携帯電話という使い勝手から外れ万人にフィットするものでないという考え方もあるが、一度大きな画面で慣れてしまうと、小さな画面で物足りなくなることも事実だ。
今回はディスプレイの話を取り上げるが、普段皆さんがスマートフォンの画面で何をし、何を見ているかをふり返りながら、読み進めて頂ければと思う。
ディスプレイと文字入力の関係
スマートフォンは、画面が主役だ。
このスタンダードを設定したのはちょうど7年前、2007年1月に発表されたiPhoneだった。物理的なボタンはホームボタン、スリープボタン、ボリュームボタンに限り、操作はすべてタッチパネルディスプレイで行うという方式を採用した。端末の正面はほぼすべてディスプレイのみで占められるようになった。
日本のケータイが世界で一番優れていた時代、ケータイの画面サイズはせいぜい大きくて3インチ弱。折りたたみ型もしくはスライド型だったのは、ケータイに必須のダイヤルボタンを物理的に用意することと画面サイズを大きくすること、そしてポケットに入るコンパクトさを保つためだった。