日本では未展開のWindows Phone。海外と違って国内通信キャリアの発言力が大きいため、デバイスの提供も通信キャリア次第、という面があるのは否めない。しかし今後のトレンドを鑑みれば、Windows Phoneを日本でも展開するのは火を見るよりも明らかだ。そんな中、NokiaやSymbianといったスマートフォンの情報を追いかけている「My Nokia Blog」に興味深い記事が掲載された。

Windows Phone/RTのライセンス料が無料になる

WP License Cost $25 per Device, $90 for RT」によれば、Windows Phoneのライセンス料は約25ドル、Windows RTのライセンス料は約90ドルだという。この価格だけ見るとかなり安価に感じるが、さらにMicrosoftにはそのライセンス料を無料にする計画があるそうだ。

海外のIT系ニュースサイト「The Verge」の記事「Microsoft considers free versions of Windows Phone and Windows RT to battle Android」によれば、Windows PhoneおよびWindows RTを将来的に無料にすることを、同社のオペレーティングシステム担当エグゼクティブ バイスプレジデントであるTerry Myerson氏が思案しているという。

現時点では、Windows PhoneおよびWindows RTのライセンス料が無料になるのか、それとも各OSにライセンス料が無料な"フリーバージョン"が用意されるのか明らかになっていない。だが記事では、次期Windows OSとなる「Threshold(スレッショルド)」の後にリリースされると予測している。

そもそもWindows Phoneのシェアは現在どの程度なのだろうか。調査会社のIDGが11月に発表した2013年第3四半期のスマートフォン市場予測によれば、そのシェアは3.6%。前年同期が2%であることを踏まえれば、十分な成長率といえる。

確かにAndroidのシェアは81%、iOSは12.9%と頂上は遠いものの、BlackBerryのシェア低下により、"第3のスマートフォンOS"という地位を確保したのは事実だ。また、Nokiaのお膝元であるフィンランドにおけるシェアは2桁台と、かなりの存在感を示している(図03)。

図03 IDCによる2013年第3四半期のスマートフォン市場予測

前述のThe Vergeの記事を執筆したTom Warren氏によれば、Windows Phoneが生み出す収益の大半はNokiaが占めているが、MicrosoftはNokia買収に伴う収入源消失を補うため、広告事業の収益拡大を目指すという。そもそも現行のWindowsストアアプリでも、広告を取り入れる仕組みを導入しており、オンライン広告に関しては「Microsoft Advertising」を設置。株式取り引きのように広告掲載の自動取り引きを実現する「Microsoft Advertising Exchange」を展開するなど積極的だ(図04)。

図04 Windowsストアアプリでは、すでにオンライン広告事業を展開している

これらのことを踏まえれば、Windows Phoneのライセンス料を無料にする可能性は高い。つまり同社は広告収益が主のGoogleを目標にしているのだろう。今後のITトレンドを見渡さずとも、Windows Phoneのシェア拡大が必須であるMicrosoftの判断に注目したい。

阿久津良和(Cactus