グーグルは12月16日、ユーザーのメディア情報行動を明らかにする「マルチスクリーン調査」の結果を発表した。

調査では、インテージのシングルソースパネル「i-SSP」を活用しており、調査対象者一人ひとりのPCやスマートフォン、テレビの視聴行動を詳細に分析。これにより、ユーザーの記憶には残らないような情報接触行動までわかるとしている。

調査対象者は、PCとスマートフォン、テレビを所有しているマルチデバイス環境下にある人で、シングルソースパネル内から該当する約500名を選出。6月1日~30日の1カ月間におけるメディア行動を分析した。なお、インテージの調べでは、これら3種のマルチデバイスを所有している人の割合は3人に1人だという。

メディア情報行動の分析では「いつ」「どれだけの時間」をメディア視聴にあてているかを調査して、行動の違いに着目。メディア行動が似ている人が同じグループに属するように統計処理を行った結果、5つのグループに分けられた。

最多勢力の"ヒマツブシ貴族"

一番多くの割合を占めたのは「ヒマツブシ貴族」で、全体の30%となった。このグループは、マルチデバイスの全てを「楽しく時間を潰すため」に利用していたという。テレビ番組はワイドショーが好きで、スマートフォンの利用方法は写真撮影や動画再生をメインに行っていた。

家に居る時間はテレビをつけながらPCやスマートフォンを見ている傾向があった。また、何でもネットで済ませてしまうのではなく、生活の充実感をリアルな人間関係の中で感じたいといった行動が見受けられた。

ヒマツブシ貴族

2番手は"キマジメ大食らい"と"探索ナルシスト"

2番目に多かったのは22%を占めた「キマジメ大食らい」と「探索ナルシスト」。キマジメ大食らいは、デバイス利用時間全体が長く、朝起きたら各デバイスを"ON"の状態にするのが習慣となっている。雑誌の購読数が多く、ニュースや情報番組で知識をどんどん蓄積させていくのが特徴で、メディアは取捨選択せずに追加していくタイプだという。

その一方で、人付き合いについてはこれ以上広げなくても良いと感じており、買い物をするときもじっくり検討する慎重派な傾向が見られる。

キマジメ大食らい

探索ナルシストのグループは、PC利用が少なく、メインデバイスがスマートフォンへと移っている傾向が見られるという。気になったことはすぐに調べたい性格で、家でPCを立ち上げるまで待つことができず、スマートフォンで検索を行っている。

他人にどう見られるかではなく、自分は自分という意識が強い。また、情報に踊らされることを嫌い、自分の価値観を重視しているという。

価格比較サイトや企業のWebサイトをスマートフォンでチェックしており、ネットショッピングをするときにはPCの大画面で慎重に検討する傾向がある。スマートフォンとPCのメディア間の使い分けが明確なグループでもある。

探索ナルシスト

4番手は"ハラハチブ自由人"

4番目に多かったのは、全体の15%を占める「ハラハチブ自由人」。テレビを見るのは夜くらいで、それ以外の時間では殆ど見ることがなかったという。PC利用も夜型で、スマートフォン利用が比較的少ない。PCはそれなりに利用するものの、雑誌もあまり読まないグループだとしている。

心にゆとりを持って、自分だけの時間を大切に過ごしたいタイプで、広く浅い人付き合いを好まない傾向が見られた。また、がやがやした場所が苦手であり、SNSについても騒がしい空間と感じているきらいがある。

ハラハチブ自由人

最も少なかった"社交的ハンター"

一番割合が少なかったのは「社交的ハンター」で、全体の12%がこのタイプであった。テレビよりもPCやスマートフォンの利用時間が長く、いずれのデバイスでも深夜帯(23時以降)での利用が多いことが特徴。ネットは「人と繋がるため」「情報を得るため」のものと認識しているとみられる。

たくさんの人と交流できる場所を求めており、ネットワーク作りが大好きだという。人と繋がるために常にアクティブに情報を収集しており、自分で編集・加工して情報発信を行う。

PCやスマートフォンをフルに活用しており、SNSやメッセージアプリから「気に入ったブランド」「話のネタになる情報」をシェアしていたい傾向が見られた。

社交的ハンター

これらのグループ分けからわかったこととしてグーグルは、「マルチスクリーンユーザーのメディアとの関わりは、全員が一様であるとは限らず、『PCやスマートフォンが普及したからテレビが見られなくなった』といった単純なトレードオフではない」ことを挙げている。

また、これらの行動傾向は、性別や年代の偏りが、同社の事前予想よりも小さかったという。グーグルでは今後も詳細な結果を公表するとしている。