レノボ・ジャパンが投入した「ThinkPad X240」は、ThinkPadの長い歴史を見た上でも、ひとつの転換点を迎えた製品だといえる。
レノボ・ジャパン 第一ノートブックシステム設計担当部長(システムデザインマネージャー)の塚本泰通氏は、「コンシューマライゼーションの潮流や、Ultrabookによる薄型化、軽量化といった流れを、ThinkPadのコンセプトのなかに取り入れたのが、ThinkPad X240。これはThinkPadのメジャーフォームファクタチェンジであり、一度リセットし、新たな時代に向けて、設計を大きく見直したものになる」とする。
Xシリーズは、ThinkPadシリーズのなかでも4割以上の売り上げ構成比を占める製品。その点でも、この取り組みがThinkPadブランドの進化に直結するものであることがわかる。
ThinkPad X240は、どんな進化を果たしたのか。ThinkPadの開発拠点である大和研究所を訪れ、その狙いを探った。
4年ぶりの新設計フォームファクタ「CS13」
ThinkPad X240は、「CS13」と呼ばれる新たなフォームファクタを採用した第1号機となる。
CSは「クリーンシート」の略称で、ThinkPadの設計を一から見直したことを意味する。これまでのフォームファクタは「CS09」と呼ばれ、2009年に発売したThinkPad T400sを第1号機として、4年間に渡って継続してきた。Xシリーズでは、X200以降、X230までが、CS09をベースとして製品化されている。
その点で、ThinkPad X240を語る上では、CS13の基本的な考え方を知っておく必要がある。
CS13の設計に携わったレノボ・ジャパン 第一ノートブックシステム設計担当部長の塚本泰通氏は、「CS13では、Ultrabookに見られるような薄型化、軽量化といった流れや、シンプルでクリーンなデザインが求められているという市場動向、使い勝手が大きく変化したユーザーエクスペリエンスの実現といった業界のトレンドを捉えたものになっている」と前置きした。そこには、新しいコンセプトと5つの強化が図られているという。
「これまでのビジネス向けPCという考え方に加えて、コンシューマや中堅・中小企業ユーザーを意識し、コンシューマライゼーションに対応する『Simplified & Modernity』という新たなデザインコンセプトを実現した。さらに、業界をリードするUltrabook+エクスペリエンスとして、堅牢性、保守性、拡張性、快適性、生産性という5つの観点からの強化を図った」(塚本氏)
堅牢性では、薄くてもThinkPadに相応しい耐久性や堅牢性を確保。保守性ではユーザーがHDD、メモリを容易に交換できる環境を実現した。さらに、拡張性ではD-Subポートやイーサネットの採用とともに、デュアルバッテリフォームファクタによる交換可能なバッテリや、TシリーズとXシリーズで共通に使えるコモンドッキングステーションを提供した。
快適性では、Windows 8に適した大型タッチパッドの採用や、ディスプレイを180度開閉できる機構の採用。生産性では、9.5mmのハードディスクによる最大1TBのサポートを実現する。
「レノボグループにはPC+という戦略があるが、その考え方を意識し、Ultrabookにおいてもエクスペリエンスというプラスの要素を組み合わせた。従来のX230と比較しても約25%の薄型化を図り、それでいて25%長いバッテリライフを実現している。また、システム性能は76%の向上、ビデオ性能は21%の向上を実現した」とする。
ThinkPadとして継承すべき部分は継承し、そこに取り巻く環境の変化や、トレンドの変化にあわせて、新たな進化を遂げたのがCS13であり、それを具現化する第1号機がThinkPad X240ということになる。