スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですからスペック表を見ると、専門用語のオンパレード……おいそれと比較はできません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「MIMO(マイモ)」についてです。

***

MIMO(Multi-Input Multi-Output)は、 複数入力・複数出力という言葉が示すとおり、送信機と受信機の両方に複数のアンテナを搭載し、通信品質を向上させるワイヤレス通信技術です。帯域幅を拡げたり通信出力をアップしたりすることなく、通信速度(スループット)を高め通信距離を伸ばすことが可能です。

すでにMIMOは多くのワイヤレス通信に採用されています。第4世代の移動通信システム(4G)およびその仕様を一部先取りしたLTE(3.9G)では、MIMOによって高速な通信が可能になっています。現行のLTEでは、送信用(基地局)と受信用(端末)に各2本のアンテナを使う「2×2 MIMO」、各4本のアンテナを使う「4×4 MIMO」が規定されていますが、商用サービスとしては現在2x2 MIMOまでです。

LTEでは、利用する周波数帯域幅を1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHz、20MHzの中から選択でき、その幅にほぼ比例して通信速度が向上します。たとえば、変調方式が同じとき、2x2 MIMO/10MHzの下り速度は最大85.7bps、4×4 MIMO/10MHzの下り速度は最大172.1Mbpsになります。

次世代のLTE(LTE Advanced)では多重度がさらに上がり、送信用と受信用に各8本のアンテナを使う8x8 MIMOまで規定されています。最大帯域幅も20MHz幅から100MHz幅へと増えるため、最大スループットは下り3Gbps(8×8 MIMO)まで高速化が可能とされています。

MIMOは、無線LANにも利用されています。最新規格のIEEE 802.11ac(Draft)では8x8 MIMOをサポートするため、最大で4x4 MIMOのIEEE 802.11nに比べ伝送速度は約2倍に向上しています。11acでは、複数の機器に電波を送信できる「マルチユーザーMIMO(MU-MIMO)」もオプションとして定義され、今後さらなる高速化の余地があります。

Microsoft SurfaceやiPad Airなど、無線LANで2x2 MIMOに対応したタブレットは増加中です。いずれスマートフォンでも普及する?

(記事提供: AndroWire編集部)