ソフトバンクがNTTドコモをついに追い抜いた。ソフトバンクは31日、2014年3月期第2四半期の決算説明会を開催し、2013年度上期の連結業績を発表。同社の孫正義代表はドコモを追い抜いた連結業績を示すともに、iPhoneやスマートフォンと関わるネットワークの状況、今後の戦略についても示した。

孫正義社長

営業利益が67%増の7,151億円に

発表会に登壇した同社代表取締役社長・孫正義氏によると、2013年度上期における連結業績でソフトバンクは創業以来はじめてNTTドコモを上回り、売上高、営業利益、純利益のすべての指標でNo.1になった。かつてボーダフォンジャパンを買収し携帯電話事業に参入した際、「10年以内にNTTドコモを抜く」と公言していた孫社長。当時は幹部社員ですら笑って取り合わなかったというが、「ついに売上高でも営業利益でも純利益でも一番になりました」(同氏)。

いずれも大幅増

売上高、営業利益、純利益のすべての指標でNo.1に

もっとも、この数字にはからくりがある。2.6兆円という売上高には、7月にソフトバンクが買収した米スプリントの事業分が0.8兆円加わっているのだ。この点について孫社長は「スプリント事業を足して(NTTドコモを)抜いたといってもいいのかと言われそうですが、そんなんでいいんだというのが私の答えです(笑)。飛び道具でも何でもいい。体が小さいなら高い靴をはけばいい」と説明する。

同様に営業利益に関しても、ガンホーとウィルコムを子会社化したことによる一時益が大きく寄与している。トータルでは7,151億円だが、一時益を除くと4,884億円。ただし、仮に一時益を除外したとしても、前年同期の4,291億円は上回っており堅調に推移しているといえそうだ。

孫社長によると、ソフトバンクの営業利益はトヨタ自動車に次ぐ国内2位につけており、世界で見ても24位にランクインしているという。純利益に関しては競合のNTTドコモ、KDDIが2005年からほぼ横ばいなのに対し、ソフトバンクはこの数年急激な伸びを見せており、2013年度上期でNTTドコモを抜き去っている。また、67%という増益率は世界3位であり、営業キャッシュフローも4,512億円で5期連続過去最高となるなど、順調に伸びていることをアピールした。

注目されるスプリントの買収については、ソフトバンクがボーダフォンを買収した際に同社の株価が6割下がったことを例に挙げ、孫社長は「今回はスプリント買収を発表して株価が25%下がりました。投資家の皆さんもだんだん学習してきたなと(笑)」と笑いを交えてコメント。「25%下がるといっても、普通はそんな発表は好んでやらない。しかし我々は一時的に不安に思われても、なすべきことをなすのだという強い決意をもって臨んでいます」(同氏)