α57に比べると、よりエントリーレベルにコンセプトを振ったのか、液晶モニターのサイズが2.7型約46万画素と小さく、低画素化されている。逆にα37に比べると、サイズは変わらないものの高画素化されている。液晶モニターは可動式だが、上に55度、下に135度の範囲で可動するチルト式で、α57のような2軸回転するバリアングル式ではなく、機能的にはα57とα37の中間という印象。

背面液晶は上下方向に可動する

ただ、可動式である点は便利で、ハイアングル、ローアングルでの撮影に向いている。特に三脚撮影時、他人の頭の上から撮影する、といった場合に便利な構造だ。

それに比べて、ファインダーは豪勢だ。新設計という有機EL採用の「OLED Tru-Finder」を採用しており、解像度は約144万ドット相当、視野率は100%といったスペック。スペック自体はα57に近いが、液晶から有機ELに変わっており、鮮やかな表示でで、コントラストもはっきりしていて見栄えがいい。

電子ビューファインダーのため、ファインダー内の情報量が多く、MF時の拡大表示、撮影情報の表示など、多彩な表示が可能。ファインダーでも背面モニターと同程度の情報量で撮影ができる。

この点が、「α」シリーズがほかのデジタル一眼と異なるポイントだ。「トランスルーセントミラー・テクノロジー」を搭載したことで、電子ビューファインダー、ライブビューいずれも位相差方式の高速AFが利用できる。エントリークラスでも100%の視野率のファインダーを利用できるし、モニターを使った撮影でも、高速なAFで撮影できる。この点はほかの一眼レフ、ミラーレスのどちらにもない、「α」シリーズの特徴だろう。

もちろん、α58でもその高速なAFが利用できる。0.05秒という高速なレリーズタイムラグもサポート。中央に3点クロスセンサーを配置した15点のAFセンサーを搭載しており、エントリークラスとしては十分なAF精度が出せる。

AF機能として新しいのが、「ロックオンAF」機能。一般的には被写体追尾機能ではあるが、それをさらに進化させており、15点のAFセンサーが被写体をとらえ続ける。ライブビュー画像から色や明るさの情報を読み取り、物体のサイズを認識するため、より合焦率が向上した、という。通常の被写体追尾では、顔検出や、物体の特徴的なエッジなどを認識して追尾していたが、物体サイズを認識できるようになり、顔が認識できなくても追尾してくれる。

AFスポットは15点で、そのエリア内なら顔検出が動作する

位相差AFを生かして、追尾も早い

「ロックオンAF」をオンにしておくと、中央ボタンを押して被写体を検出するロックオンAFが動作する

顔検出とは異なり、物体の大きさを認識して追尾してくれる

実際に試してみると、被写体の大きさを判断してくれるため、ピントが外れることが少なくなったように感じる。被写体が認識されると、その大きさにAFエリアが表示されるが、実際にピントが合うのは15点AFのエリア内のため、コントラストAFのように画面の端まで追尾してくれるわけではないが、それでも精度は向上しているような印象だった。

ただ、ロックオンAFを利用するには、被写体を画面中央に置いた状態で、円形の十字キー中央を押すという作業が必要になる。これはソニーのコンパクトデジカメのサイバーショットシリーズでもよく使われている方法だが、基本的には被写体が止まっている状態でロックオンする、という使い方になるだろう。マクロ撮影時に、ピント合わせをしてから構図を変える、といった使い方にも便利だ。

動画撮影時も顔検出やロックオンAFは動作する

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