細かなレギュレーション改訂がなされたデベロッパー部門

ちなみに今年は高速走行が可能な「尻尾(出し・下ろし)走行」(画像17)がベーシックステージでは禁止されて2輪のみで走ることになったため(画像18)、その点でもタイムが遅くなっているが、ゴールが長くなったことなどもあり、早いチームでボーナスを加算したリザルトタイムが-10秒前後となっていた(昨年はコースが違うため、-20秒にもう少しで届くというぐらいだった)。

画像17(左):昨年まで認められていた尻尾走行(CS2012大会で撮影)。画像18:今年はベーシックステージは2輪のみ。姿勢が良くなった。「とんタローズ」(茨城県立産業技術短期大学校情報システム科)

そして今年のデベロッパー部門では、ショートカットができるようになったことも目新しいところ。正確には、これまでもその間は必ずしもコースを通る必要はなかったのだが、すべての中間ゲートを通過する必要があったため、結局コース上を通った方が早いということで、アウト→インのレーンチェンジなどは限られたチームが見せていたが、ショートカットは行われていなかった。

今年のルールでは第1、第4中間ゲートに関してはゴール方向へ向かって通過する必要があるのだが、第2、第3中間ゲートは通過しなくてもいいので、その間をショートカットしやすいというわけである(画像19)。特に行いやすいのが、インコースの第1コーナー出口のちょっと先。ここは第3コーナーの入り口とコースが接しており、唯一白地のみを通ってショートカットできるのである。しかも、インからだとアウトのラインをまたぐことなく第3コーナー手前のインのラインにたどり着けることから、誤認識する危険性が低いというわけだ。走行体はどう動くかというと、そのショートカットしやすい地点で停止し、左に向き、白地を通っていき、第3コーナー手前のインのラインに到達したらまた左に向き(もちろんゴール方向)、再び走り出すという流れである。

画像19(左):ショートカットを行う「チームTMU」(首都大学東京・システムデザイン研究科)。画像20(右):ここがショートカットをしやすい部分。コースとコースが接しているので、白地だけを通っていける

ショートカットのメリットは、もちろんタイムを短縮できることだ(もちろん、素早くショートカットを行う必要はあるが)。ショートカットすると第2中間ゲートのボーナスタイムの-5秒を得られなくなるが、それでも素早く決めれば30~35秒の走行タイムを出せるので、大きな武器になる。東京地区の様子を見る限り、ショートカットなしだと走行体のスピードが速いところでギリギリ40秒を切れるかどうかというぐらい。35秒を切るとなると、絶対にショートカットは必須という感じだった(両ブロックとも、インの走行タイム1位はショートカットを決めている)。もちろんリスクもあって、ショートカットした先でちゃんと復帰できない危険性もあるし、復帰できたとしてもラインの再検出で時間がかかってしまって普通に第2中間ゲートを通過した方が早かった、という本末転倒な事態もあり得る。

ちなみにアウトはショートカットができないかというと、この第1→第3コーナーの地点ではイン側の相手チームの走行体と接触して失格になる危険性があるし、インのラインを2回またがないとショートカット先でアウトのライン上に復帰できないので誤認識のリスクが高く、ちょっと難しい。

もし行うとしたら、第2コーナー出口と第4コーナー入り口が寄っている部分ができそうで、第3中間ゲートを通過しない形だ。ただし、ここはコースが接していないので、白地と白地の間に緑地があるのがインの第1→第3コーナーの地点より難しいところ。でも、ここでショートカットを決められれば、アウトコースでも35秒前後を狙えるのではないだろうか。ただし、どのチームもトライしてこなかったことから、リスクが高すぎるのかも知れない。

ちなみにコースマップ上で見ると、第2コーナーの頂点付近でまっすぐコース外へ向かい、そのまま第4コーナーの中程で復帰するのが一番アウト側でタイムを縮められるショートカットコースに見えるが、この間の緑地の部分には東京地区大会名物のヘビのヌイグルミという障害物が待ち受けており、またスポンサーロゴの入ったカード立てもあるので、事実上無理。それらを踏みつけて蹴散らして、それでも転倒しないで突破できるのでなければ難しいだろう(できたらかなりのタイム短縮にはなる)。CS大会になってくると、ショートカットがポイントになってくるのではないかと思われ、どんなショートカットが行われるのか注目したい。

なおデベロッパー部門は、走って好タイムを出せば優勝を狙える、というわけではない。同時に、モデリング(プログラムのコンセプト)の評価も行われ、その両方がそろって優れていないと、総合優勝に輝けない仕組みだ。そうした部分は、昨年の東京地区大会チャンピオンシップ(CS)大会などの記事も読んでいただけるとよりわかりやすいかと思う。