NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社はそれぞれ、9月20日から販売を開始するアップルの新型スマートフォン「iPhone 5s」と「iPhone 5c」の価格と料金プランを発表した。本稿では、各社の料金プランやサービス、ネットワークを比較しながら、どのキャリアのiPhone 5s/iPhone 5cがもっとも"お買い得"なのか、について考えていきたい。
3社の料金プランをチェック、3社横並びに
それでは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが発表した料金プランについて詳しく見ていこう。
各社の料金・サービス比較表 ※拡大画像はこちら |
まず、3社の先陣を切って記者会見で料金プランを発表したのがKDDIだ。KDDIのiPhone 5s/iPhone 5cの料金プランは、現行のiPhone 5と同様で、基本使用料が980円/月、ネット接続料が315円/月、パケット定額料は最大2年間5,460円/月となり、合計は6,755円/月。さらに、固定回線とのセット割である「auスマートバリュー」が利用でき、この割引を適用した場合、パケット定額料が最大2年間1,480円/月割引されて、合計5,800円/月で利用可能となる。また、他社からのMNPによる乗り換えの場合、基本使用料が2年間無料となる「auにかえる割」が適用される。
2年契約での機種代金の実質負担額は、MNPまたは新規契約の場合、iPhone 5s 16GBが0円、32GBが10,320円、64GBが20,640円。機種変更の場合、iPhone 5s 16GBが14,160円、32GBが24,480円、64GBが34,680円。また、iPhone 5cの実質負担額は、MNPまたは新規契約の場合、16GBが0円、32GBが4,800円となり、さらに10,000円がキャッシュバックされる。機種変更の場合は、16GBが3,240円、32GBが14,160円となる。
続いて、ドコモがWebサイト上で料金プランの発表を行った。今回、初めてiPhoneに参入するドコモの料金プランは、基本使用料が780円/月、ネット接続料が315円/月、パケット定額料が5,460円/月となり、合計は6,555円/月だ。なお、基本使用料が他社よりも200円安いが、キャリア内での無料通話には対応していない。また、「ドコモへスイッチ学割」「ドコモへおかえり割」などのキャンペーンも実施され、他社からMNPで乗り換えた学生を対象としたドコモへスイッチ学割では、基本使用料が3年間無料、パケット定額料が最大3年間1,050円/月割引となる。なお、iPhone 5s/iPhone 5cは、当初spモードメールには対応せず、10月1日から提供される予定となっている。
2年契約での機種代金の実質負担額は、MNPまたは新規契約の場合、iPhone 5s 16GBが0円、32GBが10,080円、64GBが20,160円。また、iPhone 5cの実質負担額は、MNPまたは新規契約の場合、16GB、32GBともに0円。なお、機種変更の場合も、「iPhone買いかえ割」の適用により同額となる。さらに、iPhone 5cの16GBをMNPまたは新規で契約した場合は、キャンペーンにより毎月525円が12カ月にわたって割り引かれる。
ソフトバンクが料金プランを発表したのは、iPhone 5cの予約開始日時である13日16時を過ぎてからという異例の事態となった。ソフトバンクの料金プランは、基本使用料が980円/月、ネット接続料が315円/月、パケット定額料は最大2年間5,460円/月となり、合計は6,755円/月。また、固定回線とのセット割である「スマホBB割」も利用でき、適用するとパケット定額料が2年間で最大1,480円/月の割引となり、合計5,800円/月で利用可能。また、他社からMNPで乗り換えた場合に、基本使用料の2年間無料などが選べる「バンバンのりかえ割」などのキャンペーンも適用される。
2年契約での機種代金の実質負担額は、MNPまたは新規契約の場合、iPhone 5s 16GBが0円、32GBが10,320円、64GBが20,640円。機種変更の場合、iPhone 5s 16GBが14,160円、32GBが24,480円、64GBが34,680円。また、iPhone 5cの実質負担額は、MNPまたは新規契約の場合、16GBが0円、32GBが4,800円となり、さらに10,000円がキャッシュバックされる。機種変更の場合は、16GBが3,240円、32GBが14,160円。
このようにドコモ、KDDI、ソフトバンクの各社が発表したiPhone 5s/iPhone 5cの料金プランは、ほぼ横並びという状況だ。各社の相違点としては、固定回線とのセット割は、ドコモからは提供されておらず、KDDIとソフトバンクのみが実施。この固定回線とのセット割だが、「auスマートバリュー」はカバーエリアが広いのが特長で、全国の世帯カバー率は80%となっている。一方、「スマホBB割」の世帯カバー率は非公開となっている。
また、各社はiPhoneの旧モデルの下取りプログラムも実施する。KDDIでは、同社のiPhone 5、iPhone 4Sの下取りを実施し、iPhone 5(64GBモデル)の場合、28,000円相当のauポイントが還元される。ドコモでは、KDDIとソフトバンクのiPhoneの下取りを実施し、iPhone 5(64GBモデル)の場合、20,000円相当のドコモポイントによる還元となる。また、ソフトバンクも下取りを実施を発表しており、iPhone 5(64GBモデル)の場合、25,000円が毎月1,000ずつ利用料金から割引される。
特にKDDIユーザーは是非この下取りプログラムを活用すべきだ。この施策は、旧モデルのユーザーが負担なく800Mhzのプラチナバンド帯LTEに対応したiPhone 5s/5cに機種変更することができる。既存のau iPhoneのユーザーにとっては"神対応"といってもよいだろう。
各社のネットワーク品質は? 争点はプラチナバンドLTE
上記のとおり、料金プランや割引にあまり差がない中、焦点となるのが、各社のネットワーク品質だ。既報の通り、iPhone 5s/5cでは対応するLTEの周波数が増え、「プラチナバンド」である800MHz帯のLTEに新たに対応した。同周波数帯はドコモとKDDIがLTEに利用しているが、基地局数には大きな差があるようだ。各社LTEの基地局数と人口カバー率を表にまとめたのでご参照いただきたい。
現在、日本で利用されているLTEの周波数帯のうち、iPhone 5s/5cが対応しているのは、800MHz・1.7GHz・2GHz帯の3つ(ドコモとKDDIは、1.5GHz帯でもLTEを展開しているが、iPhone 5s/5cには対応していないため、表には含めていない)。
各周波数帯の基地局数の合計では、KDDIが5.5万となり、他の2社を大きく上回っている。また、ドコモとソフトバンクが2GHz帯に力を入れているのに対し、KDDIではプラチナバンドである800MHz帯に重点を置きつつ、その一方で2GHz帯にも力を入れているのがわかる。 注目すべきはKDDIのLTEの人口カバー率であり、前機種iPhone 5と比べてiPhone 5s/5cでは人口カバー率が大幅に伸びている。2GHz帯のみ利用できるiPhone 5のLTEの実人口カバー率が71%であるのに対し、さらに800MHz帯に対応したことでLTEの実人口カバー率は97%にまで拡大している。なお、各社のLTEの人口カバー率は、算出方法は各社で異なるため、直接の比較はできないので、注意していただきたい。
そのほか、最大通信速度については、ドコモは一部地域で下り最大100Mbpsの高速サービスを開始しているが、1.5GHz帯を利用しているため、iPhone 5s/5cには対応していない。一方、KDDIが下り最大100Mbpsの高速サービスを提供しているのは2GHz帯であるため、iPhone 5s/5cでも下り最大100Mbpsの通信を一部地域で利用可能となっている。
今回、iPhone 5s/5cが対応したLTEの周波数帯は、カバーエリアと通信速度の両面で、KDDIに有利なものとなっている。また、KDDIはLTE基地局数の合計でもドコモとソフトバンクを上回っているが、とくにプラチナバンドの800MHz帯をメインに展開している点に注目だ。
すでに800MHz帯LTEに対応しているKDDIのAndroid端末は、通信速度調査などにおいて、LTEのつながりやすさや速度で他社端末を上回る結果を出しており、同社の800MHz帯の整備が進んでいることを示している。そのため、800MHz帯LTEに対応したKDDIのiPhone 5s/5cでは、同社のAndroid端末と同様にLTEのつながりやすさに期待することができるだろう。
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iPhone 5s/iPhone 5cの料金プランが各社より発表された。また、MNPでの乗り換え割や固定回線とのセット割、iPhone旧モデルの下取りなど、各社さまざまな割引を用意している。料金プランが出揃ったところで、いよいよ、どのキャリアからiPhone 5s/5cを購入すべきかを検討することになるが、各社の料金プランだけでなくネットワーク品質にも注目しておきたい。iPhone 5s/5c発売まで、あと4日。LTEのつながりやすさではKDDIが現時点でリードしているように見えるが、果たしてユーザーの選択はどうなるのか?