NECソフトは9月5日、農業・食品産業技術総合研究機構の花き研究所、インプランタイノベーションズ、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)と共同で、新規蛍光タンパク質を組み込んだ光る「トレニア(Torenia fournieri)」を開発したと発表した。

同成果の詳細は9月10日~12日に開催される「第31回日本植物細胞分子生物学会(札幌)大会・シンポジウム」において発表される予定。

花き市場においては、イベント用途や贈答用として、他には類を見ない特徴的な花やゴージャスな花材が常に求められており、一般的な花色や花形の改良以外にも蛍光染料の塗布や吸収による人工的な「光る花」なども商品として提供されてきた。しかし、そうした光る花であっても、植物自体の特性として蛍光を発するものではなく、過去の先行研究としては、オワンクラゲ(Aequorea victoria)の緑色蛍光タンパク質(GFP)などを植物体に組み込むことで光る花を実現しようという試みはあったものの、実際に目で確認できるほど強い蛍光を発する植物は得られていなかったという。

今回の開発された光る花は、海洋プランクトンの一種である「キリディウス属(Chiridius poppei)」から発見された新規蛍光タンパク質の遺伝子情報を遺伝子組換え技術を用いてトレニアに導入したもので、暗闇の中で特定の波長の光(励起光)を当てると鮮やかな黄緑色の蛍光を発することが可能。

強い蛍光を安定に発する新規蛍光タンパク質と、このタンパク質を細胞内に多量に蓄積させるための技術を組み合わせることで、強く光ることが可能な花を実現したという。

なお研究グループでは、今回の成果について、研究面では、遺伝子発現を植物体のまま非破壊で解析する技術が向上する一方、市場への光る花の提供が可能となるとしており、今後は、植物体における蛍光タンパク質の活性維持法や観察および展示手法についての研究を進めていく計画とコメントしている。

NECソフトらが開発した光るトレニア