外出先と作業スペースで使い分けるハイブリッド機「Cintiq Companion Hybrid」

次に、「Cintiq Companion Hybrid」は、どんな製品として考えるのが良いだろうか。 こちらもズバリ言い切ると、PCから接続を外すとGALAXY Note的に使える、Cintiq 13HDと考えられると思う。

こちらの大きなメリットは、PCに接続して液晶タブレットとしても使えるし、PCから外せば単体Androidデバイスとして使うこともできることだ。よって、製品名も「Hybrid」というわけである。Androidデバイスであるため、外出先でもフルバージョンのPhotoshopでガンガンクリエイティブワークを行う、といった用途は想定されていない。ワコムがこの端末のために開発した描画アプリ「Wacom Creative Canvas」ならびにマンガのネーム用アプリ「Wacom Manga Canvas」、また「Adobe Photoshop Touch」などといったAndroidアプリでライトなクリエイティブワークを行う想定だ。

PC接続中は液晶タブレット、外せばAndroidデバイスとなる

漫画家・平尾リョウ氏もいつも通りの作画ができる、安心のワコムクオリティ

とは言え、ペンタブレットとしての基本性能は、Windows 8版の「Cintiq Companion」同様、非常に確かなものである。自宅では液晶タブレットとしてガッチリ使い、外出時の使用はマンガのネーム作成(Wacom Manga Canvas)や提案用資料のラフな合成(Adobe Photoshop Touch)などサブ的に活用する、といった使い方がよいのだと思う。

モニターの見え方に関しては、Windows8版の「Cintiq Companion」のところで言及した通り、モニター表面が液晶保護シートを貼ったような仕上げとなっていることで、モニター専用機器とは見え方がほんの少々異なる印象となっているので留意が必要だ。ちなみに、モニターのキャリブレーションを試みたのだが、今回の個体はプロトタイプだったこともあり、残念ながら結果の検証を行うことはできなかった。

スペックの細かい部分で、Windows8版の「Cintiq Companion」と異なっているのは、CPUがNVIDIA Tegra4、ストレージ容量は16GBと32GBの2種類、バッテリーの駆動時間が約10時間(32GB版)となっている。外寸は375mm×248mm×16mmとWindows 8搭載機より厚さが1mm薄い。重さが16GB版が約1.7kg、32GB版が1.8kgと、16GB版は他モデルより0.1gだけ軽い。大きさ、重さは大きな違いがないと考えて良いだろう。

ちなみに、モニター性能はどのモデルも同一であるそうだ。近年のAndroidデバイスにはさしてもたつく場面は見られないため念のための補足だが、iOSデバイスと比べても動きがもっさりしているといったことは全く感じられず、動作が軽快であったことも付け加えておく。

どっちが好みか?

「Cintiq Companion」シリーズは拡張性にも優れる

それぞれ違った長所を備えたデバイスであるので意見の分かれるところだと思うが、筆者個人としては、Windows8版の「Cintiq Companion」だろうか。場所を選ばずクリエイティブワークを行うというスタイルは、筆者も「MacBook Pro Retina + Intuos5」という組み合わせを実際に運用してメリットを感じているし、世の中的にもまだまだ広がっていくと思っている。

「Cintiq Companion」シリーズや、「Intuos Creative Stylus」といったロケーションフリーを加速させるタイプの製品が、長期的にどんなインパクトを世の中に与えていくのか、そしてこの分野の製品がどんな進化を遂げていくのかといった点についても興味深く見て行きたいと考えている。



御園生大地
フォトグラファー・レタッチャー・3DCGクリエイター。1974年東京生まれ。東京ビジュアルアーツ卒業。撮影会社に12年間在籍後、2013年からフリーランスとして活動。