いよいよ発売となる米Appleの最新スマートフォン「iPhone 5s」「iPhone 5c」。同端末についてKDDIの田中孝司社長が自社ネットワークの優位性をアピールする中、ソフトバンクモバイルもこれに対抗。同社CTOの宮川潤一専務がインタビューに応じ、ネットワークについて説明を行った。
倍速ダブルLTEで「負ける気がしない」
宮川氏は、まずは自社ネットワークについて、もともと所有する2.1GHz帯の周波数帯におけるLTEに加え、イー・アクセス買収によって得た1.7GHz帯の周波数帯を利用することで、2つの周波数帯でLTEを提供している点を説明。さらに、現状5MHz幅で提供している両周波数帯でのLTEを、9月20日のiPhone 5s/c発売に合わせ、全国で10MHz幅に拡大させ、「倍速ダブルLTE」というキーワードでアピールする。
これまでは、5MHz幅のため、下り最大37.5Mbpsずつの速度での「ダブルLTE」をアピールしていたが、他社がさらなる高速化を図っている中、同社でも帯域幅を拡張し、下り最大75Mbpsの環境を整える。
昨年のiPhone 5発売の時点では、まだ2.1GHz帯しかなく、「1車線しかなく、まだ(東京の)山手(線圏内)でなんとかやりくりしていた」(宮川氏)状況だったが、イー・アクセス買収でこれが「2車線」となったと説明。2車線化によってネットワークが強化されたとしている。
加えて、帯域幅の拡大を続けている。もともとイー・アクセスと基地局の数が違うため、両周波数帯が同じ環境にはならないが、「できるところはみんなダブルLTEにする」(同)というスタンスで基地局を設置。特に需要が特に大きい山手線圏内を中心に、「9月20日までに山手だけは片付けなければならないので、前倒しして(倍速ダブルLTEを)実現した」と宮川氏は説明する。
倍速ダブルLTEの実現については、「電波のやりくりがしやすかった」(同)ため、まず大阪市から10MHz幅への拡張を開始。ダウンロードの平均速度が7Mbps程度から一気に15Mbps程度まで増速化できたという。「10MHz幅でのサービスでは、今のカテゴリー(の端末)だと15Mbpsぐらいで安定するようだ」と宮川氏。実際、auの800MHz帯でも15Mbps程度で安定しており、逆にそれを下回るドコモの速度については、「うまくシステムが動いていないのかもしれない」と推測する。
「逆にドコモのいいところは、最繁時間帯とすいている時間帯の波のブレが少ない点」(同)とのことだ。ソフトバンクでも「最繁時間帯でどこまでユーザースループットをキープできるかをこだわっている」という。それに対してauは「このブレが一番大きい」(同)。そのため「最繁時間帯は、我々は全然負ける気がしていない」と宮川氏は強調する。