キッコーマンといえば、醤油などの調味料で有名ですよね。この企業のロゴには六角形の紋が入っています。今回は、このロゴデザインについてキッコーマン株式会社 コーポレートコミュニケーション部にお話を伺いました。
六角形のロゴマークは由緒正しいもの
――キッコーマンの六角形のマークには、亀形の六角形の「亀甲」の中に「萬」という文字が描かれていますね。
はい、このマークは、下総国の一の宮である「香取神宮」(※)にあやかったものとされています。軍神として広く知られている香取神宮は「亀甲」を山号とし、「下総国亀甲山香取神宮」を正式の名称としてきました。
その神宝は「三盛亀甲紋松鶴鏡」と名付けられている古代の鏡で、この鏡の裏面にある亀甲文様を図案化し、「亀は万歳の仙齢を有する」という故事から、亀甲にちなんで「萬」の文字を入れたという伝承があります。
しかし、亀甲の文様は、平安時代以降にわが国の模様の基礎となってきた「有職(ゆうそく)文様」に含まれており、「キッコー○○」という印はかなり一般的に用いられていたと考えられ、定かではありません。
※……千葉県香取市香取にある香取神宮は全国に400社ある香取神社の総本社です。また東国三社の一社です。
――とても由緒正しいものなんですね。このロゴマークはいつから使用されているのですか?
1820年ごろといわれています。
六角形マークから英字へ
――コーポレートマークには、どのような変遷があったのでしょうか。
亀甲文様の中に「萬」の文字を入れた六角マークをコーポレート・シンボルとして使用していましたが、1987年にCI(コーポレート・アイデンティティー)を導入し、コーポレート・シンボルも制定しました。
――線の上にKIKKOMANという英字で構成されていますね。
「フレッシュ」と「熱気」をイメージさせる明るいビビッド・レッドを用いたシンボルマークは、ベーシックラインの上に「KIKKOMAN」の文字をのせたものとしました。
ベーシックラインは「伝統」、「技術」、「信頼」を重視する企業基盤を示し、三つの切り込みは「創るよろこび」、「味わうよろこび」、「語るよろこび」を象徴したものでした。そして「KIKKOMAN」のロゴタイプは、鋭敏な感性と常に前進を目指す企業姿勢をイメージさせるものを採用しています。
21世紀に向けて先進的な総合食品メーカーとして羽ばたいていこうというイメージを凝縮したもので、日本国内でのみ使用していました。
「キッコーマンの約束」を具現化したロゴマーク
――最近では六角形のマークが入ったロゴを使われているようですが。
1987年にCIを導入したのですが、その後、事業の国際化が進み、キッコーマングループの事業領域も拡大を続けています。そこで新しい事業構造にふさわしいコーポレート・マークをはじめ、ブランド体系を構築すべく検討を重ねました。現在のコーポレート・マークは、2008年6月下旬より本格導入し、グローバルに展開しています。
――事業の拡大とCIは密接に関連しているのですね。
その検討の中で、消費者の皆様に事業を通して何を提供するのか、将来のあるべき姿を取りまとめたものが、「キッコーマンの約束」です。
■キッコーマンの約束■
こころをこめたおいしさで、地球を食のよろこびで満たします。
・伝統のわざと知恵を磨き続け、高品質の商品・サービスを誠実にていねいにお届けします。
・素材をいかし、栄養バランスに優れた食生活の提案により、こころとからだの健康を応援し、毎日を明るい笑顔で彩ります。
・世界の食文化との出会いの中で新しいおいしさを創造し、時代や文化に合った豊かな食生活をご提案します。
この「約束」は、現在のコーポレート・マークおよびスローガンのベースとなり、ブランド体系の根幹を成すものです。さらに、この「キッコーマンの約束」を一言に凝縮して表現したものが、コーポレート・スローガンです。英語では"seasoning your life"であり、日本語では「おいしい記憶をつくりたい。」、中国語では「調美味 品人生」です。
――このロゴマークをデザインしたのは誰でしょうか?
Landor社(日本オフィス)にデザインをお願いしました。
――デザインのコンセプトを教えて下さい。
デザインの中心となるイメージは「かよいあうこころ」です。食のよろこびと、こころとからだの健康を、のびやかでやわらかに表現しました。また、小文字を使用することで、「やさしさ・ぬくもり・親しみやすさ」 を表しています。ロゴの右肩に配した六角形のマークには、革新と伝統を融合していく私たちキッコーマングループの意思が込められています。
――このロゴマークの色はどのように決定されたのでしょうか?
ブランドカラーはオレンジ色。太陽や炎、大地や豊穣を感じさせ、「健康・若々しさ・活力」 を象徴するとともに、食欲を増進させる色です。
――ありがとうございました。
いかがだったでしょうか。企業を象徴するロゴマークは事業の進展によって変更されるものなのですね。それにしても六角形のマークは神社由来のものだったとは驚きです。
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(高橋モータース@dcp)