MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)は7月9日、モバイルデータ通信サービス利用者1,600人を対象とした満足度調査の結果を公表した。同調査によると、モバイルデータ通信のサービスおよび端末の総合満足度では、WiMAXのサービスが最も優れていたという。

同調査では、WiMAX、イー・モバイル、ソフトバンク、ドコモのモバイルWi-Fiルータを利用している20歳以上の男女を対象に、料金やネットワーク通信などのサービス面での満足度や、利用している端末の満足度、今後加入する際に重視したい点などを尋ねた。調査方法はインターネット調査によるもので、有効回答は1,600人。調査期間は6月17日から19日まで。

結果をまとめると、モバイルデータ通信サービスの総合満足度、モバイルデータ通信端末の総合満足度の両方でWiMAXが首位となった。また、今後加入する際に重視したい点としては「月額料金の安さ」「通信の安定」「通信速度の速さ」などが多く挙げられた。

モバイルデータ通信サービスの総合満足度はWiMAXが首位

まず、モバイルデータ通信サービスの満足度について、料金、通信エリアの広さ、通信速度、オプションサービスの充実、総合評価といった計11項目を各キャリアの利用者に5段階で尋ねたところ、総合評価で「満足」と「やや満足」を合わせた数値は、WiMAXが63.8%、イー・モバイルが51.2%、ドコモが46.8%、ソフトバンクが37.0%となった。WiMAXの満足度が最も高く、満足している利用者が4キャリア中唯一、60%を超え、2位のイー・モバイルと10%以上の開きがついている。

各キャリアのモバイルデータ通信サービスの総合満足度

また、キャリア別に利用者の50%以上が満足している項目では、WiMAXは「速度制限の有無(68.3%)」「初期費用(67.0%)」「本体価格(60.8%)」「月々の料金(58.8%)」「通信速度(52.6%)」の5項目、イー・モバイルは「初期費用(57.8%)」「月々の料金(53.5%)」「本体価格(50.0%)」の3項目の満足度が50%を超えた。ソフトバンクはいずれの項目でも満足度が50%未満で、ドコモは「通信エリアの広さ(58.8%)」「初期費用(50.8%)」の2項目となっている。満足度が50%を超えた項目数においても、WiMAXが最も多い結果となった。

モバイルデータ通信サービスの各項目におけるキャリア別の満足度

端末の総合満足度でもWiMAXが首位という結果に

次に、自身が利用しているモバイルデータ通信端末の満足度について、サイズやバッテリーの持ち、起動の速さ、総合評価など、計11項目を各キャリアの利用者に尋ねた。すると、総合評価で「満足」と「やや満足」を合わせた数値は、WiMAXが66.3%、イー・モバイルが52.0%、ドコモが47.8%、ソフトバンクが39.5%となり、サービスの満足度と同様に、端末の満足度でもWiMAXが60%以上で最も高い結果となった。他キャリアと比べて「やや不満」「不満」が少ない点もWiMAXの特徴となっている。

各キャリアのモバイルデータ通信端末の総合満足度

キャリア別に利用者の50%以上が満足している項目では、4キャリアともに「大きさ」「重さ」の2項目が50%を超えた。そのほか、WiMAXは「薄さ」「操作性の良さ」「丈夫さ」「デザイン」「バッテリーの持ち」が加わり計7項目、イー・モバイルは「丈夫さ」が加わり計3項目となった。ソフトバンクで満足度が50%を超えたのは2項目のみで、ドコモは「薄さ」が加わり計3項目だった。WiMAXは端末の満足度が全11項目で満足度が高く、50%を超えた項目数においても7項目と最も多くなっている。

モバイルデータ通信端末の各項目におけるキャリア別の満足度

今後加入する際に重視したい点は「月額料金の安さ」が最多

また、現在自身が利用しているモバイルデータ通信サービスに関係なく、今後加入する際に重視したい点を各キャリアの利用者に尋ねたところ、「月額料金の安さ」が最も多く85.7%、次いで「通信が安定している(74.9%)」「通信速度が速い(72.4%)」「通信エリアが広い(71.7%)」といったネットワークに関する項目が多く挙げられ、さらに「バッテリーの持ちが良い(65.6%)」「速度制限がない(64.1%)」が6割以上で続く結果となった。

今後、モバイルデータ通信サービスに加入する際に重視したい点

MMD研究所では、各キャリアの最新モバイルWi-Fiルータの比較も紹介している。加入時に重視する点として首位となった月額料金については、WiMAX、ソフトバンク、イー・モバイルが月額3,880円で最安となっている。なお、ソフトバンクとイー・モバイルは2年契約の場合の料金であり、WiMAXは「URoad-Aero」端末で1年契約の料金となる。

各キャリアの最新モバイルWi-Fiルータの比較表

通信速度では、ドコモが下り最大112.5Mbpsで最速。ただし、LTE方式のドコモ、AXGP方式のソフトバンクの場合、月間のデータ通信量の総量規制があり、規定のデータ通信量を超えると速度制限が行われ、速度制限を解除をするには2,625円が必要となる。WiMAXでは速度制限は行われない。

高速通信エリアの全国人口カバー率は、WiMAXが94%で最も広い。また、連続通信時間では、WiMAXの「URoad-Aero」、イー・モバイルの「Pocket WiFi LTE(GL05P)」「Pocket WiFi LTE(GL06P)」の約12時間が最長となっている。

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今回の調査結果では、モバイルデータ通信におけるサービスと端末の総合満足度の両方でWiMAXが首位となった。個別項目の満足度においても、利用者の50%以上が満足している項目が他キャリアよりも多く、WiMAXのサービス・端末が全体的に支持されていることがうかがえる。

イー・モバイル、ソフトバンク、ドコモのモバイルデータ通信サービスと比較した場合に、特にWiMAXが優位といえるのが、データ通信量による速度制限が行われない点だ。他キャリアの場合、月間のデータ通信量が一定量を超えた場合に速度制限が行われ、制限解除には追加費用が必要となる場合がある。WiMAXであれば一部端末を除いて速度制限がなく、また追加費用も必要ないため、月額費用だけで高速通信が使い放題となっている。

さらに、WiMAXは端末についても満足度が高かった。WiMAXの最新モバイルWi-Fiルータを見てみると、「URoad-Aero」(シンセイコーポレーション製)は、連続通信時間約12時間、連続待機時間約1,000時間という大容量バッテリーを備えていながら、約74gと軽量なのが特長。また、「Wi-Fi WALKER WiMAX HWD13」は、WiMAXに加えて、auのCDMA通信にも対応し、さらに幅広いエリアで利用できるモバイルWi-Fiルータとなっている。

月額料金の安さ、速度制限がない点がWiMAXの特長であり、さらに端末によってバッテリーの持ちの良さや通信エリアの広さをカバーしている。これらは、今回の調査で今後加入する際に重視したい点として挙げられた項目とも合致しており、WiMAXの満足度が高い理由もうなずける。スマートフォンではLTEが主流となっているが、モバイルデータ通信サービスでは、WiMAXが大きな存在感を見せているといえる。