米Appleは6月10日(現地時間)、主力デスクトップ製品である「Mac Pro」の次世代モデルの概要を発表した。ワークステーション向けハイエンドプロセッサのデュアル構成というスペックはそのままに、円筒形の特徴的な外観で新型冷却システム採用による小型化などを実現している。今年中にも一般販売が開始される見込み。
初代Mac ProはIntelプロセッサ採用を発表した2006年に登場したが、外観そのものはPowerMac G5時代からほとんど変化しておらず、ハイエンドデスクトップ製品として実に10年近くモデルチェンジが行われてこなかった。さらにIntelのプロセッサ戦略が変化したことでサーバ/ワークステーション系列とデスクトップ/ノート系列でのロードマップに大きな乖離が生じており、華々しいアップデートを遂げるMacBookやiMac製品群に比べ、一部開発者らに根強い人気がありながらも、地味な存在となっていた。
このたび行われた10年ぶりのモデルチェンジでは外観を一新し、黒いカラーリングの円柱状のデザインを採用している。内部に拡張ベイこそ備えないものの、横幅は6.6インチ(約16.8センチ)、高さは9.9インチ(25.1センチ)とコンパクトなサイズになっており、それでいて最大6×2で12コアのデュアルコアIntel Xeonを搭載するハイエンドマシンとなっている。このデュアルコアプロセッサは今年中の登場が見込まれるIvy BridgeベースのXeon E5となるほか、従来にない特徴としてワークステーション向けのAMD FireProをデュアル構成で搭載するなど、GPU方面での強化が図られている。さらにECC DDR3メモリ、PCIe接続のフラッシュストレージ、4Kディスプレイへの対応、Thunderbolt 2にUSB 3.0、HDMI 1.4、ギガビットイーサネットなど各種ポートやI/Oを持つ。現行世代のMac Proと比較して、全体に2倍以上のパフォーマンス増加を実現している。
前述のようにその最大の特徴はインパクトの大きいデザインで、Unified Thermal Coreと呼ばれる三角柱状の巨大なヒートシンクを中央部に配置し、その各面にCPUやGPUを配置、そこから発生する熱を上部にある巨大ファンで吸い上げて外部に排出することで効率的な排熱を実現しているという。筐体にはアルミニウムを採用し、本体カバーはこうしたメカニック部分を覆い隠して上部の排気口のみ露出する形状を採用している。
登場時期は年内となっているが、これは次世代Xeonを採用するタイミングを待っているためだと思われる。また以前に比べて拡張性が犠牲になっているようにも思われるが、これはUSB 3.0のほか、6ポート搭載するThunderbolt 2のインターフェイスを活用して外部ストレージに接続してほしいという意図があると思われる。代わりに内蔵ストレージには高速なフラッシュベースのものを採用し、本体の高パフォーマンスを維持している形だ。