ICTインフラの簡単な導入と最適な運用がポイント
「買ってすぐに使える」高性能・垂直統合型プラットフォーム

近年、ICTインフラの構築で要求されるのは、導入から稼働までの「スピード」であるという。さらにミッションクリティカルを要求される環境では、高信頼なシステムでなければならない。しかし従来のデータベースサーバの構築は、「どのようなプラットフォームを構築するか」といった部分の決定に時間を費やしていた。また、導入決定後も二重化構成の構築や、ソフトウェアの導入といった作業を行わなければならない。通常、顧客が製品を購入して稼働させるまでに約2.5ケ月を要するという。

こうした課題に答えるのが、富士通の垂直統合プラットフォーム「Dynamic Integrated Systems」である。会場には垂直統合型データベースシステムである「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」と、垂直統合型の仮想化・クラウド製品である「FUJITSU Integrated System Cloud Ready Blocks」が同じラックに格納されて展示されていた。

上が「HA Database Ready」、
下が「Cloud Ready Blocks」

富士通ミドルウェア事業本部データマネジメント・ミドルウェア事業部の中山昌宏氏

「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」の特徴は、従来のデータベースサーバ導入に必要だった構築、設定といった作業が不要であることだ。これらの設定は、すべて富士通の工場出荷時に完了している。富士通ミドルウェア事業本部データマネジメント・ミドルウェア事業部の中山昌宏氏は、「従来であれば約2.5ヶ月かかっていた作業が、搬入後、電源を入れてから1日で終えられるようになる」と語る。リソースを最大限に活かすためのチューニングが実施された状態で提供されるので、「お客様側はネットワーク設定をするだけ」(中山氏)と強調する。

もちろん、ミッションクリティカルな業務を遂行するための構成も万全で、サーバ、ネットワークや電源も完全な二重化構成となっている。データは正サーバと副サーバに、それぞれのSSDに保存され、内蔵のストレージ装置に自動でバックアップされる。つまり機器は二重化、データは三重化されているのだ。さらに、トラブル発生時のデータ復旧もワンクリックで可能。「簡単な操作でリカバリーできることが当社の強み」と語る。

SSDはPCIe インタフェースに接続することで、高速性を実現している。中山氏によると、ディスクで組んだ場合と比較し、約20倍の性能でトランザクション処理が実行できるという。

垂直統合型データベースシステムの
「HA Database Ready」

一方、「FUJITSU Integrated System Cloud Ready Blocks」も、仮想化ソフトウェアを含む関連ソフトウェアのインストールから設定までのすべてが工場で実施された、垂直統合型の仮想化・クラウド基盤である。中山氏によると、従来必要としていた専門要員による設計・設置・導入作業・設定作業が必要なくなるため、初期導入に要するコストを最大40%削減できるという。

「物理サーバを仮想集約したい、あるいは、仮想化したシステムをプライベートクラウド化して運用効率をあげたい、といった要件に最適です。短期間でこういった要件に合うICTインフラを構築したいがノウハウがないというお客様に利用して頂きたい」(中山氏)

またシステム規模と仮想化・クラウドの実現レベルに応じて構成を柔軟に対応できるのも特徴だ。例えば60VM以下の小規模から1,000VMまでの大規模まで対応可能。「小さくはじめて大きく育てる環境に最適」(中山氏)だという。

垂直統合型の仮想化/クラウド基盤「Cloud Ready Blocks」。必要な設定はすべて工場出荷時に完了している

ビッグデータ時代を見据えたソリューションも多数展示

またICTイノベーションのコーナーには、デデュープアプライアンスである「ETERNUS CS800 S4」も展示されていた。

ビッグデータ活用に代表されるように、近年企業が保存するデータ量は増加の一途をたどっている。その中には重複データも少なくない。ETERNUS CS800 S4はこうしたデータを重複排除/圧縮する機能を備える。バックアップ環境や条件により差はあるが、データ量は90%以上の削減が見込めるという。さらに圧縮されたデータは、差分のみを転送するため、安価な低帯域WANによるデータ転送が可能だ。なお本製品は、同社の「リモートバックアップサービス」と連携している。

これにより、自社で遠隔地に災害対策用サイトを所有していない企業でも、災害対策システムを構築できる。もちろん、管理GUIもわかりやすい使い勝手で、設定に手間取ることがない。

データの重複排除(ディデュープ)と圧縮機能を提供する「ETERNUS CS800 S4」

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今回「ICTイノベーション」ブースで展示された製品に一貫していたのは、「管理者視点に立った運用負荷の軽減と、経営者視点に立った効率化とコスト削減」という哲学である。既存ICT基盤最適化の主な目的は、ビジネスの効率化とイノベーション分野への投資を拡大するべく、既存ICT基盤の保守費用を削減することだ。しかし、そのために管理者の運用負担が増大しては、本末転倒である。そうした意味において、ETERNUS VX700 seriesを中心とした富士通のICT基盤最適化ソリューションは、経営視点に立脚した戦略的プラットフォームと言えるだろう。高可用性と高信頼性を求める企業にとって、最適な選択肢となるはずだ。