台湾ASUSTeK Computerは3日(現地時間)、台北市内において、恒例となる"COMPUTEX前日プレスカンファレンス"を開催した。同社の今年のテーマは「We Transform」。これには「従来のコンピューティングの常識を変える」という意味が込められており、同社のJonney Shih会長から、デュアルOSの変形PCなど、ユニークな製品が多数紹介された。

製品を紹介する同社のJonney Shih会長。今年もドヤ顔が何度も炸裂した

同社は、"Transformシリーズ"とでも言うべき製品群を投入してきた

同社はこれまでも、"融合型"のデバイスを発表してきた。「Eee Pad Transformer」は、着脱式のキーボードを備え、ノートPCのようにも使えるタブレットだったし、「PadFone」は単体ではスマートフォン、ガワと合体させることでタブレットになるデバイスだった。また「TAICHI」は天板側にもディスプレイを備え、閉じればタブレットになるユニークなノートPCだった。

その延長上にあるのが、今回発表された「Transformer Book Trio(TX201LA)」という製品。従来、ノートとタブレットの融合はあったが、これにさらにデスクトップまで加えたデバイスになる。

一見すると、Eee Pad Transformerのような着脱式キーボード+タブレットなのだが、Trioのキーボード部分は「PC Station」と呼ばれており、実はこれ単体で動作するPCである。PC Stationに外部ディスプレイを接続すればデスクトップとして利用でき、タブレット部と合体すればノートPCになる。3in1だから"Trio"なのだ。

合体時にはWindows 8ノートだが…

引っこ抜くと瞬時にAndroid端末になる

PC Stationは、第4世代のCore i7-4500Uを搭載し、容量750GBのHDDを備えるWindows 8マシン。一方タブレット側は、2.0GHz駆動のAtom Z2580が搭載されており、11.6インチのAndroid端末として利用できる。合体時にはWindows 8ノートとなるが、分離すると、タブレット側の画面は瞬時にAndroidに切り替わる仕組み。今年Q4の発売を予定している。

PC Stationは単なるキーボードではなく、単体で動作可能

キーボードにはWindows/Androidの切り替えボタンがある

同社のプレスカンファレンスは演出が年々派手になっている気がするのだが、今年はプロジェクションマッピングを使った寸劇まで用意。その最後、スクリーンにドアを投影したと思ったら、ドアが本当に開いて、そこからTrioを持ったShih会長が再び登場してきたのは面白かった。

普通に寸劇が進行していたが…

スクリーンにドアのような絵が

あれっ? と思ったら

画面からShih会長が登場

順番が前後したが、プレゼンの前半には、Tegra 4タブレットの「Transformer Pad Infinity」、6インチタブレットの「Fonepad Note FHD 6」、7インチタブレットの「MeMO Pad HD 7」なども紹介された。

「MeMO Pad HD 7」はカラーバリエーションも用意。重量は302gと軽い

会場から大きな歓声が上がったのは、MeMO Pad HD 7の価格が明らかになったときだ。これは4コアCPU「MT8125」、1,280×800のIPS液晶(10点タッチ)、フロント/リアカメラなどを搭載したAndroid端末なのだが、16GBモデルの価格はなんと149ドル。Nexus 7の実売価格が大体2万円前後なので、大きなインパクトがありそうだ。

会場が最も沸いたのはこの「149ドル」という数字が出た瞬間。安い

そして8GBモデルなら129ドルだという。タブレットでも価格破壊を起こすか

そのほか、「VivoPC」は、メディアセンター向けのコンパクトPC。小型ながら、3.5インチHDDを搭載できるようになっており、天板を開けての交換も用意だ。バンドルされるという「VivoMouse」もユニーク。マウスとタッチパッドを融合したようなデバイスで、Windows 8のタッチジェスチャが利用できる。

大きさは19×19×5.6cm。最新の高速無線LAN「802.11ac」も内蔵

この本体サイズで3.5インチHDDを内蔵するというのもすごい

これが「VivoMouse」。丸い部分がタッチパッドになっている

片手でスクロール等の操作も可能。ただ、係員以外は触れなかった

非常に盛り上がったプレゼンであったが、我々日本人メディアのおそらく全員の頭の上に「?」が出たのが最後の退場シーン。プレゼンが全て終わり、Shih会長がステージ後方に退出するとき、なぜかここで場内に流れたのがウルトラマンのテーマ。なぜウルトラマンだったのか…それが今回一番のナゾだ。

「光の国から僕らのために~」と脳内再生される中での退場はシュール

また、プレゼンでは紹介されなかったものの、注目の製品が「Zenbook Infinity」である。会場にはこのプロトタイプが展示されており、スペック等はまだ決定されていないようだが、本体の厚さはわずか15.5mmと、従来(18mm)よりもさらに薄型化されるようだ。CPUは第4世代Coreを採用。9~10月くらいの発売を予定しているとのことだ。

厳重にケースに格納され、全く触れない状態の「Zenbook Infinity」

従来同様、形状はくさび形のようだが、最厚部でも15.5mmだという

タッチパネルを採用する。重量は1.3kgくらいになる予定だとか

写真では見えにくいが、天板はゴリラガラス採用で非常に美しい