キングジムとドリームネッツは5月31日、スマホアプリ作成サービス「アプスタ」に関して協業することを明らかにした。同日、都内で開催された記者説明会には両社の代表者が出席し挨拶したほか、同アプリの紹介デモが行われた。アプスタは同日より利用が開始される。

(左から)キングジムの宮本彰社長とドリームネッツの井上一成社長

アプスタはiOSおよびAndroidスマートフォン向けアプリ。キングジムとドリームネッツは本アプリを通じて、小規模店舗や個人商店の事業主が販売促進のためのオリジナルアプリを作成し、運営していくことを支援する。アプスタでは導入時の初期費用が0円でスタートできるほか、アプリのデザインやアイコンの制作も簡単に行える。また、AppStore/GooglePlayマーケットへのアプリ申請・アプリ登録もドリームネッツが代行して行うなどの便宜が図られている。

記者説明会の冒頭、キングジム代表取締役社長の宮本彰氏が登壇し挨拶した。宮本氏は「アプスタはキングジムにとって新しいチャレンジ。ドリームネッツの宮本社長が発案したもので、話をいただいたときにすぐイケる、と感じた」といきさつを語った。事業の運営はドリームネッツが行い、キングジムではサービスの企画・PR活動全般・パンフレット制作などの支援活動を行っていくという。続いて、ドリームネッツ代表取締役社長の井上一成氏が登壇しアプスタの概要について説明した。

登壇するキングジムの宮本彰社長(写真左)とドリームネッツの井上一成社長(写真右)

井上氏は「大手企業ではスマートフォンのオリジナルアプリを通じて、様々なプロモーション活動を行っている。ただ、開発には専門知識が必要で、運営には高額なコストがかかる。したがって、大手以外では導入するのが難しかった。そんな状況がアプスタで変わる」とサービスをアピールした。

個人商店や中小企業でも簡単かつ低コストで独自のアプリが作れるサービス。ユーザーのダウンロード数が100件を超えるまでは、無料で運用できる

アプスタでは、事業主がクーポンやセール情報、イベントの告知などを顧客へ簡単に配信できるようになっている。井上氏によれば、本サービスは「事業主が新規の顧客を獲得する」というよりは、「常連の顧客に、より良いサービスを提供する」側面が強いとのことだった。アプリをインストールできるのはiOSおよびAndroid端末。アプリの運用に関しては、iOSおよびAndroid端末(タブレットを含む)に加え、Windows PCおよびMacにも対応する。

地域密着型ツールを目指している

井上氏は「アプスタは、大手SNSや大規模なコミュニティサービスを目指しているわけではない。地域の店舗を中心にした小さなグループで使われる、人と人がつながることをお手伝いするツールにしていきたい。事業者と、その先にいるユーザーと一緒にあって育てていければ」と語った。

続いて、キングジム開発本部の亀田登信氏が登壇し利用料金の説明とデモを行った。アプスタは成功報酬型のモデルで、ダウンロード数が100件を超えると従量課金制となる。101件~1000件までは100ダウンロードごとに2,000円/月、1001件~5000件までは30,000円/ 月、5001件~10000件までは50,000円/月。101件を超えた初回のみ、サーバー設定費として10,000円が別途必要となる。

登壇する亀田氏(写真左)。アプスタは成功報酬型のモデルで、ダウンロード数が100件を超えると料金が発生する(写真右)

デモでは、PCの扱いに慣れていない花屋がiPadから情報配信を行う、という利用シーンが再現された。テンプレートに従い必要な情報を入力するだけで配信は完了。即座に、アプリをインストールしている顧客のスマートフォンへプッシュ通知が行われた。

普段利用している端末から、簡単にニュースレター配信やクーポン付きレター配信、フォトギャラリー、スタンプ機能、お店情報などを配信できる

アプリの利用イメージ

説明会の最後に、質疑応答の時間がもうけられた。両社では初年度に3,000店舗、5年以内に30,000店舗の導入を目標にしている。このうちの何割が有料ユーザーになるかなど、現時点では未知数の部分も多いという。情報配信の最適なタイミングなど、店舗側では分からないこともある。このため「そういったノウハウを提供していく予定はあるのか」という質問があった。これに対し、井上氏は「1店舗ごとにコンサルティングのような形で支援する予定は、現時点ではない。まずはWebサイト上に、集客の仕方、クーポンの使い方、情報レターの配信方法などを掲載し、随時支援していきたい」と答えた。