5月21日、シャープは、4K表示(3,840×2,160ドット)に対応した液晶テレビ「AQUOS UD1」シリーズの新製品発表会を行った。「AQUOS UD1」シリーズは、同社の4K対応テレビとしては「ICC PURIOS(アイシーシー ピュリオス)」に続く第2弾となる。

4K表示対応の「AQUOS UD1」シリーズ

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シャープ、4Kモスアイパネル搭載の「AQUOS」ブランド初となる4Kテレビ(2013年5月21日)

製品の概要についてはニュース記事「シャープ、4Kモスアイパネル搭載の「AQUOS」ブランド初となる4Kテレビ」をご覧いただきたいが、2012年12月に発売された「ICC PURIOS」がシアター用のプレミアムモデルだったのに対して、「AQUOS UD1」シリーズは4Kの市場拡大を目指したリビング向けモデルだ。

JEITAが発表している「民生用電子機器国内出荷統計」によると、液晶テレビの国内出荷実績は、地上デジタル放送完全移行で需要のピークを迎えた2010年が約2,519万台となっているが、それ以降は、2011年が約1,982万台、2012年には約645万台と低迷している。2013年も前年比70%台で推移しており、いまだに復調の兆しは見えていない。

一方、シャープでは、地上デジタル放送完全移行の反動によるテレビ需要の低迷が2012年で底を打ち、2013年以降は安定して右肩上がりとなると予想している。液晶テレビ市場での大画面テレビの構成比は上昇しており、2013年4月には46V型以上が台数構成比で約12%(うち50V型以上が約6%)、金額構成比で約35%(うち50V型以上が約21%)となっている。

シャープでは、テレビ需要の低迷は2012年で底を打ったと予想

大型テレビの比率が増加

大画面テレビ普及のためのポイントを、同社では3点挙げている。1つが、フルHDでは画面の粗さが目立つようになってきているという点。これを解決するために採用したのが4K規格だ。2つめが、リビングで使用するには、画面への映り込みを解消する必要があるという点。これは、同社独自の「モスアイパネル」の採用により、大幅に低減するという。最後が設置スペースの問題。これは、これまでも行ってきた狭額化などの省スペース設計に加えて、本来ならば別のシステムであるフロントサラウンドシステム並みのサウンド機能を本体に取り込むことによって、音響機器も含めたトータルでの設置スペースを減らすという方法が、「UD1」シリーズでは採られている。

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シャープでは、今年は4K市場が5万台程度になると見込んでおり、その後も今後急速な立ち上がりを見せると予想。「ICC PURIOS」と今回の「UD1」シリーズで、2~3割程度のシェアを確保したいとしている。

2Kモデルとは別のレベルの精細感

今回、4Kテレビの第二弾モデルとして70V型、60V型というサイズを選んだのは、大画面になるほど、同じサイズの2K(フルHD)モデルと比べた場合、映像の差が分かりやすいためだという。下の写真左は、70V型のフルHDモデルで表示された映像を写したもので、右の写真が、今回発表された4K対応のLC-70UD1で表示された映像だ。「UD1」シリーズでは、孔雀の羽の細かな1本1本まで精細に表現されているのに対して、フルHDモデルではそこまでの精細さはなく、点線のような表現になってしまっているのが分かるだろう。肉眼で見た場合でも、距離が近ければその差はかなり顕著だ。

2Kモデルに比べて、「UD1」シリーズのほうが色味がきつく見えるかもしれないが、これは画面モードのせいだ。「UD1」シリーズは8種類の画面モードを持っており、2Kモデルとの比較画面で使用されていたのは、フォトモード。より鮮やかな色調表現を行うモードだ。

ソースに合わせて多くの画面モードを持つUD1シリーズ

フレームの幅も従来より抑えられている

なお同社は、CEATECなどの展示会に32V型の4Kディスプレイを出展しており、業務用として既に発売している。しかし、これはあくまで業務用のモデルで、コストや市場動向との絡みもあり、一般家庭向け4Kテレビの小型化が一気に進むということはないとのことだ。

フロントサラウンドシステムやDLNAサーバー機能なども搭載

独立したキャビネットを持つスピーカーシステム

中央の正方形の部分が「DuoBass」構造のウーファー

「UD1」シリーズのスピーカーは、テレビ側とは独立した構造のキャビネットにとに収められている。使用されているユニットは、φ2cmツイーター×2本、3cm×15cmミッドレンジ×2本、4cm×7cmウーファー×2本。2本のウーファーは、向かい合わせに配置されており、それぞれが振動を打ち消す構造「DuoBass」を採用している。2.1chフロントサラウンド機能が内蔵されており、テレビのみで臨場感の高いサウンドを実現している。

「AQUOS」シリーズでは、多くのモデルがDLNAプレーヤー機能を搭載している。これにより、同社のBDレコーダー「AQUOSブルーレイ」をはじめとするDLNAサーバーからの映像を、ホームネットワーク内で自由に視聴することができる。「UD1」シリーズではこれに加えて、「AQUOS」シリーズとしては初めてDLNAサーバー機能を搭載。

「UD1」シリーズは地上デジタル×3基/BS/110度CSデジタル×2基のチューナーを搭載しており、USB HDDへの2番組同時録画にも対応している。ここで録画した番組を、ネットワーク経由で配信することが可能だ。なお、同時に配信できるストリームは1本のみ。DTCP-IPには対応しているが、DTCP+には非対応だ。

さらに、SDカードスロットを1基、USBポートを3基装備しており、これらのメディアに保存されている写真データを、フォトフレームのようにスライド表示させることが可能だ。SDカードやUSBメモリに音楽ファイルを保存しておくと、写真を表示させながら音楽を再生させることもできる。本体にも400MBのメモリを内蔵。本体のメモリのみで、4Kサイズの静止画を約80枚保存できる。また、SDカードから本体メモリやUSBメモリに写真をコピーすることも可能だ。