Industrious Revolution

Google Asia Pacific, Director of SMB OperationのKevin O'Kane氏

続いて登壇したのは、Google Asia Pacific, Director of SMB Operationを務めるKevin O'Kane氏。氏は、Googleが提供するAdテクノロジーの意義を示したうえで、中小企業の成功事例をいくつか紹介した。

O'Kane氏はまず、GoogleのAdテクノロジーの特徴として、入札制度と分析技術を挙げた。これらのうち、入札制度に関しては、従来型の広告がボリュームディスカウントを前提とした料金体系であるのに対して、入札型のオンライン広告は規模によらずに適正価格で出稿できることを説明。また、分析技術に関しては、データ分析能力に長けた専任者がいなくても効果が測定できるプラットフォームを提供していることを紹介し、これら2つの特徴により、資金の限られる中小企業に対しても、大企業と同じ条件でビジネスを展開できる環境を提供しているとした。

さらにO'Kane氏は、こうした現状を「18世紀に起きた産業革命が”Industrial Revolution”なら、現在起きているのは"Industrious(勤勉な) Revolution"」と表現。「一生懸命働く姿勢とアイデアさえあれば、ビジネス規模に起因するディスアドバンテージを跳ね返すことができる」と続けた。

マグネットから入れ墨まで、多種多様な導入事例

イベントでは、中小企業の事例として先述のBOXMANのほか、インドのChumbak、マレーシアのHOMEBOX、香港のThe Tattoo Temple Studioが紹介された。

最初に紹介されたChumbakは、観光地向け土産を意識したマグネットなどを販売する企業。2010年4月にオンライン販売をスタートしたが、それを機に同社のビジネス環境は劇的に変化したという。以前は電話をかけたり、メールでカタログを送ったりと人手をかけて拡販を進めていたが、販売サイトを設けてAdWordsからの誘導を始めた結果、購入者のみでなく、「当店で販売したい」と、小売業者からも連絡が来るようになったという。現在はインド150店舗のほかに日本でも100店舗で同社商品を取り扱い中。「日本での販売に関しては、メールでの連絡に応じてサンプルを送っただけで、一度も会うことなく取り扱いを始めてくれた」と言い、なかば自動的に拡販が進んだことに驚いたという。

ChumbakのVivek Prabhakar氏

chumbakのWebサイト

また、HOMEBOXは、インテリアのカスタムデザインを手がける企業。以前は、ショールームを設けて営業をかけるというストレートな手法をとっていたが、現在はWebサイトに案内を掲示し、AdWordsを使って誘導しているという。これにより、新規顧客を毎月10件弱継続的に獲得できているほか、問い合わせしなくても新作インテリアのサンプルが送られてくるなど、メニュー拡充の面でも良い影響が現れている。

HOMEBOXのLeslie Tan氏

HOMEBOXのWebサイト

そして、The Tattoo Temple Studioは、入れ墨を彫るサービスを展開する企業。「出荷」という形態をとれず、オンラインには向かないビジネスに思えるが、AdWordsなくして今日のビジネスは成り立たないと断言する。同社ビジネスのターゲットは、入れ墨を彫りたいと考えるコンシューマー。必然的に数が限られるうえ、価格も最低200ドル、概ね1万ドル以上と高額だ。非常にニッチなマーケットを相手にしており、マスの広告は向いていないことから、AdWordsを中心としたオンライン広告を選ぶことになった。分析を重ねながら出稿形態の改善を続けた結果、今ではトップアーティストで2年待ち、ジュニアアーティストでも9ヶ月待ちというほど依頼が殺到しているという。

The Tattoo Temple StudioのChris Anderson氏

The Tattoo Temple StudioのWebサイト

そのほかイベントでは、AdWordsは、簡単に出稿/分析できることから最初の一歩として最適だが、慣れてきたらAdSenseやAdMob、Youtubeを使ってキャンペーンなどを展開することで大きな効果が得られること、またGoogleのAdテクノロジーが位置情報にも対応しており、より高度にターゲティングできることなど、さまざまなトピックスが紹介された。それらについては追ってレポートしていく予定である