映画『コララインとボタンの魔女』を手掛けたハリウッドのライカ・エンターテインメントが、構想10年、製作期間3年を費やして完成させたという"こだわり"のアニメーション映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎』。本作は死者と話せる少年・パラノーマンが、300年前に封印されたブライス・ホローの町の秘密を解き明かすアドベンチャームービーだ。

同作はもはや古典的ともいえる「ストップモーション・アニメーション」という撮影手法を採用しながらも、最新のフルCGアニメを凌駕する表現力を見せつけ、第85回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされるなど多方面で高評価を得た。今回はこの撮影手法に注目しつつ、映画制作の裏側を紹介したい。

『パラノーマン ブライス・ホローの謎』

ストップモーション・アニメの魅力

ストップモーション・アニメーションとは、被写体となるモデルの人形をセットに置き、1コマごとに少しずつ動かしながら撮影する技法のことだ。撮影した画像を"パラパラ漫画"のように連続再生することで、まるで人形自身が動いているかのように見せることができる。古くから映画の特撮シーンなどで用いられていたが、近年ではSFXやCG技術が発達したことで、その役目がとって替わられることも多くなった。

その一方で、『ウォレスとグルミット』に代表されるクレイアニメや『チェブラーシカ』などのパペットアニメの手法などとして、今でも多く用いられている。手間とコストはかかるものの、CGでは成し得ない独特の"空気感"や"リアリティ"が表現できるという魅力があるからだ。