ディスプレイの輝度でバッテリ駆動時間は大きく変わる!

ノートPC全体の消費電力のうち、比較的大きな割合を占めているのが、液晶ディスプレイのバックライトが消費する電力である。先ほどは実用的な輝度「中」で計測を行ったが、ディスプレイの輝度が、どれくらいバッテリ駆動時間に影響を与えるのか、輝度「最高」と輝度「最低」でも同じ条件で計測を行ってみた。

結果は下のグラフに示した通りだ。輝度を最大にするとバッテリ駆動時間は13時間3分、最低輝度では19時間40分となり、輝度最高と最低のバッテリ駆動時間の差は実に6時間37分にもなることが分かった。HP ENVY x2は、Clover Trailの消費電力が低いため、相対的に液晶バックライトの消費電力が占める割合が大きくなっていると考えられる。

バッテリ駆動時間を延ばしたければ、できるだけディスプレイ輝度を下げることが重要なのだ。HP ENVY x2では、f2キーとf3キーでディスプレイの輝度を調整できるので、視認性が落ちない範囲でこまめに輝度を調整し、暗めに設定すると駆動時間を延ばすことができる。

なお、先ほどのテスト結果で驚かされたのは、輝度最低時のバッテリ駆動時間が、カタログ値を上回る19時間40分を達成したこと。輝度最低でも、実用に耐えないほど暗いわけではなく、一般的な室内の明るさなら十分な視認性だ。無線LAN常時オンという状態でも、バッテリ駆動時間の公称値を上回るHP ENVY x2の凄さがよく分かる。裏を返せば、日本HPの公称バッテリ駆動時間の計測が、実使用にかなり近いというか、正直な値だといえるだろう。

f2キーでディスプレイの輝度が下がり、f3キーで輝度が上がる。視認性が落ちない範囲で暗めに設定すると、バッテリ駆動時間が延びる

ネット動画の連続再生でも11時間オーバーを実現

さて、Webサイトを巡回しながらキー入力を行うという先ほどの条件は、Webで調べ物をしながら原稿を書くという、筆者のような仕事スタイルに近い。HP ENVY x2をバッテリ駆動して実際に原稿を書いてみたが、先ほどの結果とほぼ同じ時間、仕事をすることができた。

そこで次に、もう少し厳しい条件として、YouTubeなどのネット動画を無線LAN経由で連続再生させて、バッテリ駆動時間を計測してみた。Windows 8の電源プラン「バランス」、ディスプレイ輝度「中」として、YouTubeのHD動画を連続再生させたところ、11時間2分のバッテリ駆動が可能であった。

さすがに、先ほどの条件での結果に比べると5時間ほど短くなったが、それでも11時間を超えるバッテリ駆動時間を実現したのは非常に立派である。電車や飛行機などで移動中に動画再生マシンとして使っても、十分に実用的だ。

ピュアタブレット状態でも8時間超のバッテリ駆動を実現

最後に、キーボードドックを外したピュアタブレット状態でも、バッテリ駆動時間を計測してみた。条件は最初のテストと同じだ。BBenchで1分ごとに無線LAN経由でWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行う設定にし、Windows 8の電源プランは「バランス」、ディスプレイ輝度「中」にして計測を行った。

ピュアタブレット状態のHP ENVY x2

結果は8時間11分であり、キーボードック装着時の半分強という実測値だった。キーボードドックを外すと、重量もほぼ半分の約700gとなるため、この結果は妥当であろう。約700gという軽さとともに、無線LAN常時オンという実使用に近い環境で、8時間越えのバッテリ駆動時間を両立させたHP ENVY x2は、非常に完成度の高いマシンといってよいだろう。

Windows 8の最大限に活用したいユーザーに最適

これまで3回にわたって、HP ENVY x2をさまざまな角度からレビューして来たが、触れば触るほど、HP ENVY x2の新たな魅力を知ることになった。HP ENVY x2は、HPのPCに対する確固とした哲学が感じられる素晴らしい製品である。

真っ先に目立つHP ENVY x2の魅力は、タッチパネルを搭載しており、ピュアタブレットとしても、クラムシェルノートPCとしても使えること。加えて、10,000回以上もの分離合体テストに代表される、過酷な使用状況を想定しながら製品化している堅牢性、今回のテストで明らかになった非常に長いバッテリ駆動時間も大きな見どころだ。外出先や移動中の利用が多い人はもちろんのこと、コストパフォーマンスも優秀なので、Windows 8の新機能を最大限に活かしたいという人にもおすすめだ。