イーブックイニシアティブジャパンは22日、ASUSが23日に発売する7型Androidタブレット「ASUS MeMO Pad ME172V」(ME172V)に電子書籍コンテンツを提供すると発表した。また、自社の電子書籍サービス「eBookJpapan」コンテンツとのセット販売を開始する。ME172Vの価格はオープン。店頭予想価格は17,800円前後。

左からASUS JAPANのプロダクトマネージメント課 アカウントマネージャーSophie Lee氏、イーブックイニシアティブジャパン代表取締役社長の小出斉氏、漫画家の六田登氏

都内では合わせて発表会が行われ、イーブックイニシアティブジャパン代表取締役社長の小出斉氏や、ASUS JAPANのプロダクトマネージメント課 アカウントマネージャーSophie Lee氏、端末専用に作品を描き下ろした漫画家の六田登氏が登壇。事業内容の紹介や、電子書籍への思いが語られた。

23日発売となる「ASUS MeMO Pad ME172V」は600×1,024ドット解像度の7型TFTカラー液晶搭載タブレットだ。重量は約358gでOSはAndroid 4.1.1を搭載し、プロセッサはVIA WM8950。RAMは1GB、ROMは8GB。通信はIEEE802.11b/g/n。バッテリ駆動時間は約7時間。カラーはグレーとピンクの2色となる。

今回のコンテンツ提供では、「ASUS MeMO Pad ME172V」に、「eBookJapan」からコンテンツを購入できる3,150円分の「eBook図書券」を同梱。また、六田氏がタブレット端末向けに描き下ろしたコミック「老人と海」(ヘミングウェイ原作)や、「eBookJapan」用のリーダーアプリをプリインストールする。

eBookJapanの事業内容

男性コミックを中心に100,000冊以上の書籍を揃える

ASUSとは5年来の協業。今回の話はeBookJapan側から発生したという

端末に専用のリーダーアプリを備え、ブラウザの初期画面で販売サイトへ誘導する

また、「eBookJapan」専売で、「ASUS MeMO Pad ME172V」と同社コミックスとのセット販売も行う。作品は「eBookJapan」からのダウンロードとなり、端末本体は別途配送される。セット販売は通常より割り引いた価格で販売。例えば全400巻の手塚治虫全集とME172Vのセットは103,050円となり、通常価格の143,275円より40,225円割引いた価格で販売される。

セット販売第1弾のランナップは、先述の手塚治虫全集や「島耕作シリーズ」「進撃の巨人」「カイジシリーズ」など全25種類。価格はセット内容によって異なる。第1弾の反応をみながら第2弾のリリースを検討するという。

ASUS MeMO Pad ME172Vのホーム画面

リーダーアプリで電子書籍を立ち上げたところ

縦表示・横表示に対応する

六田登氏の描き下ろし作品「老人と海」がプリインストールされる。フルカラーの240ページ作品

同社では"電子書籍を身近なものにする"ため、「豊富な作品数」「便利なサービス」「手頃な端末」の3点が必要と考えるという。

既に業界最大級のコミックコンテンツ数を保有し小説や雑誌数も拡充中とし、サービスについては最大5台までの端末で購入作品を閲覧できる「トランクルーム」を挙げた。今回ME172Vが登場したことで「手頃な端末」が実現し、"身近な"完成に大きく近づいたとした。

「タブレットで読む漫画はGoogleのストリートビューに近い」 - 六田氏

漫画家の六田登氏

発表会では、「ダッシュ勝平」「F-エフ-」(第36回小学館漫画賞受賞)などの作品で知られる漫画家の六田登氏が登壇し、7型タブレット向けに作品を描いた感想を語った。

依頼は1年ほど前。作品の判型を決める時に、例えばB5サイズだとタブレットで表示した際に「ズーム機能が生かされない」ため、あらかじめ7型タブレットでの閲覧を前提として、アーネスト・ヘミングウェイ原作の「老人と海」約240ページを描き下ろした。この分量は紙に換算すると480ページになるという。

六田登氏は、漫画作品とは「時間を俯瞰し、静止画を積み上げて物語をつくる」と説明。電子書籍で作品に没頭する行為は、「(Googleの)ストリートビューで俯瞰しながら町を歩くことと近い」と表現した。

六田氏は、「紙の漫画は判型によってコマのサイズが違う。どこで読者が立ち止まるかを考えながら作っている。デジタルで必要な新しい文法に、これまでのB5判を踏襲する必要はない。コマが小さくなり、せっかくのズーム機能も毎コマでは(読み進める)邪魔になる。新しい読み方で、読者と濃密な関係が築けると信じている」と話した。

「今後は電子書籍ならではの施策も考えている」 - 小出氏

イーブックイニシアティブジャパン代表取締役社長の小出氏

また、イーブックイニシアティブジャパン代表取締役社長の小出氏は「電子書籍は自身の行動を変えるきっかけになる。一人でも多くのユーザーに体験して欲しい」と強調した。

「eBookJapanは電子書籍サービスの老舗であり多くのサービスを最初に手がけてきたパイオニア。紙の本を電子化することが一巡し、次の段階では、例えば今回のように、タブレット向けにコミックを書き下ろすような電子書籍ならではのコンテンツ施策を展開したい」(小出氏)

なお、イーブックイニシアティブジャパンは2012年10月末に専用の7型電子書籍端末を12月中旬頃に発売するとしていたが、それ自体は「無期延期」扱い。今回のME172VはASUSと協力した新端末と説明した。

登壇したASUS JAPANのプロダクトマネージメント課 アカウントマネージャーSophie Lee氏。端末の概要を紹介した

ASUS製Androidタブレットの年表

ME172Vの紹介。「電子書籍を片手ですぐに楽しめる」とされている

発表会ではME172Vの実機が展示されていた

コンテンツを表示したところ

ブラウザのホームページがeBookJapanとなっている

端末の下面

左側面。電源ボタンやボリュームボタンを配置

上面

右側面