シャープと芙蓉総合リースが共同出資する合同会社クリスタル・クリア・ソーラーは、3月1日から大阪府泉南郡岬町において、シャープ多奈川太陽光発電所の商業運転を開始。3月11日、現地において竣工式を行うとともに、同発電所の様子を報道関係者に公開した。

シャープ多奈川太陽光発電所

約1万1,000枚の多結晶太陽光発電パネルを設置

シャープ多奈川太陽光発電所は、約3万3,000m2の敷地面積に、1万1,368枚の多結晶太陽光発電パネルを設置し、約2.7MW-dcの出力規模を実現。年間予測発電量は約296万kWhであり、一般的な家庭の年間消費電力量に置き換えると約820世帯分に相当するという。

多奈川太陽光発電所は、関西空港の埋め立てのための土砂を採掘した場所で、2012年11月から着工。わずか4カ月で稼働にこぎつけた。事業期間は20年間となっている。

シャープは、合同会社から委託を受けて建設し、発電事業の運営も行う。年間事業規模は約1億1,800万円を予定している。

シャープでは、北海道での4件の実績をはじめ、長野県、栃木県、大阪府、奈良県、広島県において、すでに9つのメガソーラー案件に取り組んでいるが、企画設計から開発、調達、工事、発電、運用、保守までを一手に手掛けるのは、今回が初となる。

発電された電力はケーブルを通じて集電箱を経て、パワーコンディショナーへ伝送される

発電所内に設置されたパワーコンディショナー

発電量を常時表示している

シャープ ソーラーシステム事業本部・向井和司本部長(上)。メガソーラーの前に立つ向井氏(下)

3月11日に行われた竣工式には、シャープ ソーラーシステム事業本部・向井和司本部長、芙蓉総合リースの狩野恭治執行役員大阪支店長、岬町の田代堯町長、衆議院議員の丸山穂高氏などの関係者が出席。テープカットを行った。

向井氏は「無事故、無災害で竣工式を迎えることができた。年間296万kWhの発電量を火力発電に置き換えると、ドラム管3,000本に匹敵する石油が必要となり、これによるCO2排出量は900トンにも達する。また、これを吸収するには200ヘクタールの森林が必要になる」と前置きした上で、「今回は3.3ヘクタールでこれを実現する。自然環境にやさしい発電サイトが岬町にできあがった。今後、20年間この地で発電事業を行う。地元の方々の協力に期待したい」と、このメガソーラーの意義についてコメントした。

向井氏はさらに、「多奈川太陽光発電所は、シャープがこれまでに55万軒の屋根に設置してきた実績や国内外の施設への設置、運用ノウハウを生かして、もっとも効率の高い形で展開していくことになる」と、シャープならではの強みを述べた。

3月11日に竣工式が行われた

竣工式の神事に出席する関係者

神事で玉串奉奠を行う向井氏

太陽光パネルのお祓いを行う

関係者によるテープカットの様子

芙蓉総合リースの狩野恭治執行役員大阪支店長(上)と岬町の田代堯町長(下)

また、芙蓉総合リース執行役員大阪支店長の狩野恭治氏は「多奈川太陽光発電所の建設は、1年ほど前から取り組んできた。初めての取り組みということで紆余曲折もあったが、竣工式を迎えられたことは喜ばしい」とコメント。

狩野氏は近年のエネルギー事情についても触れ、「東日本大震災以降、エネルギーに関する問題がクローズアップされ、太陽光発電によって、クリーンエネルギーの安定供給にわずかながら貢献できることは意義がある」と述べた上で、「芙蓉総合リースのスローガンは、『前例がない場所へ』。今回の太陽光発電事業は初めてのものであり、まさに前例がない場所へ進出したものになる。820世帯分の発電量は、7,810世帯がある岬町の1割強にあたる。20年間という長期にわたる事業であり、安全に発電事業を進めていく」と抱負を述べた。

一方、岬町の田代堯町長は、「太陽光発電では雇用が創出できないという地元の反対の声もあったが、東日本大震災以降、自然エネルギーに対する要求が高まってきたことや、この地でシャープが太陽光発電を行いたいという熱い想いに動かされ、太陽光発電所を建設することになった」と建設の経緯を説明。

また、田代氏は「今年9月には、ユーラスエナジーによる約10MWの太陽光発電施設が竣工する予定であり、これにより大阪府内で最大規模の発電量を岬町が誇ることになる。岬町は、以前から岬砂漠といわれるほどに雨が降らない場所であり、日照時間が長い。太陽光発電には適した場所である。シャープがここで太陽光発電を行っていることは町のPRにつながり、活性化にもなる。共存共栄で長い付き合いをしていきたい」と、今回の事業について期待を寄せた。