台湾SerCommの日本法人であるサーコム・ジャパンは2月26日、都内で会見を開き、2013年の日本地域における事業戦略を公開した。

サーコム・ジャパンはOEM/ODM製品ベンダであり、主に家電制御ネットワーク製品やブロードバンドゲートウェイ、Wi-Fiルータ、フェムトセル、無線LAN通信機器、IPカメラ、ビデオブリッジなどを顧客(通信キャリアやサービスプロバイダ、ハードウェアメーカーなど)向けに提供しているほか、地域に応じた規制などに対応するための開発支援やFAEサービスの提供なども行っている。

サーコム・ジャパン代表取締役社長の伊藤信久氏

「事業ドメインはネットワーク関連機器のほか、日本では電力の見える化(電力測定ユニット)やフェムトセルなどの機器をグローバルと同じOEM/ODMとして、日本の品質で提供するのが我々のビジネス」(サーコム・ジャパン代表取締役社長の伊藤信久氏)とするほか、「台湾本社が持つプロダクトラインアップは膨大だが、我々としては日本地域に対応する形で、家電制御コントローラを中心に据え、電力計測ユニットやECONET Lite対応ホームゲートウェイなどを提供していくスタイルを採用している」と語り、家電制御コントローラ「SF-IRC01」の同日付で受注を開始したことを明らかにした。

ネットワーク、特に無線LANが家庭や店舗で急速に普及しており、それによりビジネスへの応用ニーズが高まってきている。そうした拡大する市場に対し、新しいコンセプトを持ちつつ、エンドユーザーが必要とする製品を必要とする時期に提供することが難しくなっている。特に多機能になれば、評価時間などが従来以上にかかるようになるなど、Time to Marketから解離していってしまう。また、「製品のライフサイクルも短くなってきており、製品の入れ替えタイミングが早くなれば、タイムリーに製品を提供すること自体がビジネスチャンスになる。そうした意味では、我々が製品を提供することで、開発期間の短縮などが可能になるほか、さまざまな企業向けにさまざまな機器を開発しているノウハウを活用することができるようになり、かつ日本法人がハンドリングすることで高い品質を維持したまま、顧客のネガティブ要因を取り除くことができる」という。

サーコム・ジャパンでは家電制御コントローラを中心に、電力計測ユニットやIPカメラ、ネットワークゲートウェイなどをOEM/ODMとして、各事業分野のベンダ各社に提供するビジネスを推進していく

具体的なOEM/ODM製品の開発コンセプトとしては、ハードウェアとしては筐体まで作った状態で、顧客のサービスにマッチするソフトウェアやファームウェアを開発して提供するというもの。さまざまな地域で出てくるニーズを集約することで製品の開発が行われており、すでに日本からのニーズを受けて開発された製品も複数存在しているという。また、ODMについては、完全に顧客からの要望にマッチする形で製品を開発・提供するが、技術的にはOEM製品で培ったノウハウを転用することで、開発速度を向上することが可能になっているとする。

OEMで培ったノウハウをODMに展開することで、顧客が求める製品を短期間で開発することが可能になる。また、そうした各地域の顧客からの声を吸い上げることで、新たなOEM製品の開発につながるというサイクルができているとする

特に日本では少量多品種がメインで、海外で通用した製品をそのまま持ち込んでも通用しない。そこで、国内のパートナー企業が国内ニーズにマッチしたファームウェアを開発するなど、地域に即した対応を進めることで、ビジネスを拡大させており、SF-IRC01を中心とする家電制御アダプタも、対応デモサーバーのサンプル提供も2013年第2四半期中に開始する予定で、これにより、「事業者では社内でサーバと機器をつないで、どういったサービスができるかの検討を行うが、そういうときに、具体的に温度をチェックしたり、遠隔地からの操作などを手軽かつ素早く実行することができ、開発期間の短縮が可能になる」とする。

日本地域の顧客ニーズにより開発された製品などもすでに複数存在する。中央の丸いのが「SF-IRC01」

SF-IRC01は将来的にECONET Liteに対応する予定で、これによりECONET Liteコントローラを製造している事業者と組むことで、ECONET Liteで来た命令をIRに変換して家電機器の制御を可能にするというも計画しているとするほか、同社としてもECONET Liteに認定されたゲートウェイの提供も行っており、2013年はハードウェアの信頼性を向上させた新製品「NA920」の提供を予定しているという。また、ホワイトラベルパッケージとして、パッケージソフトベンダのソフトを搭載した形で事業者に提供するビジネスも考えているという。これにより、サーバの立ち上げから、ファームウェア、ソフトウェア、スマートフォンとの連携などが簡単に行うことが可能になるとする。

このほか、屋内および屋外それぞれに対応したHD対応IPカメラの提供も2013年に開始することを計画しているほか、メディアコンバーター/ブリッジとしても利用可能な無線LANリピーターや、屋内外に対応するブロードバンドルーター/アクセスポイント製品として、すでに海外での利用実績があるIEEE 802.11ac対応製品を国内でも法対応が終わり次第、提供していく計画としており、これらを総合的に活用することで、2013年は2011年比で600%超の成長となる6億6000万円の売り上げを目指すとしている。

家電制御アダプタのロードマップ

ECHONET Liteゲートウェイのロードマップ

ネットワークカメラ(屋内設置型)のロードマップ

無線LANリピーターのロードマップ

ブロードバンドルーター/アクセスポイントのロードマップ