GPUの並列処理性能を活かす新技術を開発

Tegra 4ファミリーでは、CUDAこそサポートされていないものの、ハイダイナミックレンジ写真・ビデオ合成などでGPUを積極的に活用するなど、GPUの持つ優れた並列処理性能をスマートフォンやタブレットでも活かせるAPIの開発を進めている。その技術詳細は、後日改めてレポートするが、優れたCPU & GPU性能を活かすことで、より豊かなイメージ処理を実現することが可能であり、その一端として、Tegra 4ファミリーで対応するComputational Photograph Architecture「Chimera」APIを利用したリアルタイムのHDRビデオ合成や、HDRパノラマ撮影、動きのある被写体をタップ指定するだけで、ピントなどをあわせ続けてくれる「タッチ & トレース」のデモなども披露された。

動画
「タッチ & トレース」のデモ。屋外駐車場の特定の車をタップで被写体として指定するだけで、タブレットを動かして被写体がフレームから外れてしまってもも、再度同被写体がフレームに入ってくれば、再度その車を認識し、ピントをあわせてくれる

被写体の輪郭を記憶して、カメラのフレームを移動させても自動的に被写体を追尾する「タッチ & トレース」機能も、Tegra 4でサポートされる

Tegra 4ファミリーで追加されるComputational Photograph Architecture「Chimera」API

リアルタイムでHDRビデオ処理を行なうには、30GFLOPSの演算性能が必要となると言う

Chimeraのハイダイナミックレンジ写真・ビデオ合成処理におけるGPU利用のメリット

Iceraモデムプラットフォームのロードマップも公開。LTE対応のi500は認証取得や最適化の効率を上げるため、複数モデルが用意される見通しだ

さて、Tegra 4ファミリーの市場投入時期だが、Tegra 4搭載タブレット端末やスマートフォンは、パートナーベンダーからMobile World Congress 2013で公開され、今年前半に一部が市場投入される見通しだ。一方、メインストリーム市場向けのTegra 4iについては、SoCチップのサンプル提供開始が今年第2四半期というスケジュールで、搭載製品が市場に出回り始めるのは年末以降となる。

また、NVIDIAは、Tegra 4および同4iそれぞれに、動作クロックや仕様の異なるモデルが複数用意されることも明らかにしいる。ただし、同社がTegra 4iと同時に発表したリファレンススマートフォンプラットフォーム"Phoenix"は、Tegra 4にも対応しており、チップの供給開始から製品化までの期間短縮を可能にするものとして、期待されている。

Tegra 4(手前)とTegra 4i(奥)のスマートフォン用リファレンス基板

Tegra 4iのチップパッケージ。中央がBGA版、両サイドがFCCSP(Flip Chip Chip Size Package:フリップチップ実装用パッケージ基板)で、右が実際にDRAMチップを実装したもの

先のTegra 4iの3パッケージに、さらにTegra 3のチップを右端に並べてみたもの

Tegra 4iのリファレンススマートフォンプラットフォーム「Phoenix」とその基板のリファレンスデザイン