5つの分野で品質にこだわり
--今後のMouseProブランドが目指す方向性について伺いたいと思います。
小松:これまで外の方にはお話して来なかったのですが、社内では「日本品質」の実現に向けて色々な施策をとってきました。
先ほどMouseProの強みはリーズナブルな価格で最新製品をお届けすることだと申し上げました。しかし、それだけでは十分ではない。MouseProをはじめ、全製品の品質を上げよう! と社内に号令をかけてきました。
実際に製品を購入されたお客様から、コールセンターに様々なクレームが入ります。コールセンターに入るクレームをゼロにすることが理想ですが、現実的にはそれは難しい。コールセンターに入るクレームを出来るだけ少なくすることと共に、クレームを入れたお客様の問題が解決し、「ありがとうね!」と言ってくれるお客様を増やすべく、号令をかけてきました。ありがとうと言ってくださったお客様の割合を、「サンキュー率」として、サンキュー率をあげるための活動です。
そのために、外部のサポート調査や、アンケートで調査を行い、サンキューと言ってくださったお客様がどれくらいいらっしゃるのかカウントしています。こうした取り組みは、コールセンターを自社化してからのことです。
--サンキュー率ですか。実際にどの程度サンキュー率が向上したのでしょうか?
小松:2011年2月MouseProブランドをスタートさせてから翌2012年2月までの1年間では、サンキュー率は約15%増加しました。2012年2月から現在までは、約10%増です。
クレームが多くなれば営業活動にも支障が出ます。アフターフォローをしなければならず、本来の営業活動をする時間が短くなってしまうからです。出来るだけクレームを少なく、安心して売ることが出来る製品、クレームがあってもサンキューといってもらえるサポート体制を整えること……これはMouseProのみならず、マウスコンピューターにとっては不可欠なものです。
このパンフレットを見てください。表紙に初めて、「すべてのビジネスパソコンを『日本品質』へ。」と書かせて頂きました。初めて外部の皆さんに、MouseProは日本品質を実現した製品なのだとアピールできる段階になったのです。
--小松社長が考える、「日本品質」とはどんな要件を満たしたものなのでしょう?
小松:大きく5つの守るべき品質があると思っています。第一には文字通り、「製品品質」です。まず製品が壊れないというのは基本だと思います。
次に営業品質です。購入してくださったお客様に、「カタログを見るとすごく綺麗なことが書いてある。ところが使ってみたら、カタログとは違う!」と思われるようでは駄目です。最初に申し上げた品質が十分ではないということでもありますし、製品について、正しくカタログで説明出来ていないということになります。購入前の製品情報を正しく伝える。お客様と我々の営業の認識ギャップをなくす必要があります。営業部門のスタッフが、正直に、正確な情報を伝えることが出来る体制を整えることが必要です。
三番目に機能品質です。機能といってもスペックシートに出てくる機能ばかりではありません。スペックシートには出てこない品質、例えばキーボードの使い勝手、筐体の質感といった点まで満足度の高い製品に仕上げる。仕上げが雑で、「筐体をよく見たら、ここに隙間が空いている」「このポートの周辺、歪んでいる」といった細かいところまで仕上げにこだわらなければ、機能品質は十分とはいえません。
四番目に先ほどもお話しした応対品質。コールセンターに、「使い方がわからない」という問い合わせがあった際にきちんと対応出来ているのか。これを徹底する。
そして五番目が修理品質です。万が一故障が起こった際、最短納期で修理返却を行う、再修理が発生しない、などの体制が取れているのか。
この5つの分野の品質を持つことが重要です。
--外部に、マウスコンピューターは日本品質を目指していくことをアピールされるまで、どれくらい時間がかかっているのでしょう?
小松:社内の全部門に号令をかけ、一致団結した体制で取り組むようになってから1年半です。日本品質を実現する製品を提供するんだ! と意識するようになってから、社内スタッフの意識も大きく変わりました。
例えばコールセンターには、「これは製品的にどうなんだ!」といった直接的な声がお客様から寄せられます。そこでコールセンターと開発部門が定期的にミーティングを行い、お客様の生の声を開発部門にフィードバックする。これまでは行われていなかった連携によって、製品開発に少なからず影響があったと思います。
私が日本品質が必要と感じるのは、パソコンマーケットは初めてパソコンを購入するお客様よりも、2台目、3台目のパソコンを選ぶリピートマーケットとなってきたからです。1台買っていただいたら終わりではなく、2台目、3台目もマウスコンピューターの製品を選択していただかなければなりません。そのためにどうすればいいのかを考えた結果が「日本品質」だったのです。
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