説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は「飛行機に乗らなくても『機内モード』が便利なワケ」です。
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『設定』を起動すると、いちばん上に用意されている「機内モード」というスイッチ。その名前とアイコンデザインから判断すれば、飛行機に乗ったとき使うもの……確かに、日本の法律(航空法)では、飛行機に搭乗中は携帯電話の使用が常時禁止されています。離陸前、キャビンアテンダントから「携帯電話の電源をお切りください」といわれますから、このスイッチを使うことなくiPhoneの電源を切ってしまうのですけれどね(※2011年4月1日以降、地上停止中の携帯電話等の使用については、運航の安全に支障ないと判断された範囲において、航空機内での規制が一部緩和されています。詳細はこちら)。
でも、この「機内モード」スイッチ、それ以外の場面でもけっこう役立ちます。それは、機内モードスイッチをオフにすると、iPhoneのすべての通信機能がいったん無効化されるから。そのあとオンに戻せば、すぐに通信機能は復活するので、通信機能における"リセットボタン"的な役割を果たすのです。
なぜ"リセットボタン"的な使い方が必要かというと、iPhoneと携帯電話基地局との通信を初期化するためです。たとえば、iPhone 5は「3G」と「LTE」という2種類の携帯電話通信網に対応していますが、いちど3Gの基地局と通信し始めると、より高速なLTEの基地局と通信可能な状態になっても、なかなかLTEの基地局に切り替わらないことがあるのです。
そんなとき"リセットボタン"を押せば、ベストな条件で通信するべく基地局の捕捉をやり直しますから、LTE回線に切り替わる可能性が高くなります(もちろんLTEの基地局が通信圏内にあることが前提です)。
iPhoneを提供しているソフトバンクとKDDI/auは、3GとLTEのネットワーク間を移動した場合でも通信が途切れることのないよう、基地局の切り替え(ハンドオーバー)をスムーズに処理するための技術を導入し、順次運用を開始しています。もっとも、現在は3GからLTEへの移行期ですから、LTE通信網の整備が進めば、このような手動での基地局の切り替えは不要になることでしょう。