米ラスベガスで開催される世界最大級の家電関連見本市「International CES 2013」の開幕を前に、東芝は1月6日(現地時間)、日本メディア向けに事業説明会を開催。2013年のデジタルプロダクツ事業の方針を説明。4Kテレビを強化し、58V型、65V型、84V型の各サイズを発売していく。価格は58V型/65V型では「1インチ1万円を切る価格」を目指す考えだ。

東芝の4Kテレビ。左が84V型、右が64V型

58V型

東芝執行役専務・デジタルプロダクツ&サービス社社長の深串方彦氏

全般的に不調だった2012年の日本市場で、東芝のデジタルプロダクツ事業も「非常に厳しかった」と、東芝執行役専務・デジタルプロダクツ&サービス社社長の深串方彦氏。そうした中でも、積極的に新商品やサービスを提供してきたと強調。例えば「タイムシフトマシン」機能を搭載したレグザやクラウドサービス「TimeOn」、Windows 8対応のUltrabookなどを投入した。

海外では、成長する新興国向けにも注力し、各国の事情に合わせた「ローカルフィット商品」として「POWER TV」を積極的に展開することで、11月には累計出荷台数を500万台まで伸ばした。

2012年の動向

東芝では、こうした流れを2013年も継続、強化していく考えで、「クラウドサービス+大画面4K高画質」というテレビ戦略を掲げる。映画、スポーツ、ライブコンサート、ドラマといった映像コンテンツを、「心に響く感動領域へ持っていきたい」(深串氏)という目標を挙げる。

2013年のテレビ戦略

グローバルで大画面化が進んでおり、同市場でのプレゼンス向上を狙う

テレビのトレンドは、世界の趨勢としては「大画面化」が進んでおり、それがさらに進んでいくと予測。2011年上期は、51V型以上のテレビは全体の6%だったが、11年下期には14.2%に、12年上期には17.3%にまで拡大。12年10~11月には21.6%にまで達し、61~70V型以上も増加し続けている。

テレビの大画面化が著しい

しかし、中小型向けのWXGA解像度、大型テレビ向けのフルHD解像度は、画面が大型化するほど精細度が落ち、画素の粗さが目立ち始める。その結果、東芝が独自に規定した「感動指数」は低下してしまう。それを回避するためには、画面サイズの大型化に対して画素を増やす必要があり、4Kテレビを投入することで、大画面でもこの「感動指数」を維持したい考え。深串氏は、「4Kで感動を最大化したい」と強調する。

大画面化することで精細感が失われ、「感動指数」が低下する。これを解消するために4Kに注力する

それを実現するのが、同社内の「強い半導体部門」(同)が作り上げた画像処理エンジン「REGZA ENGINE CEVO 4K」と高精細の4Kパネルを組み合わせた「シネマ4Kシステム」だ。例えば4Kで撮影された映像をダウンコンバートでBlu-ray Discに収めたものは、水平解像度では元の映像の63%にまで落ちるが、このシステムを経由することで、90%まで復元して再生でき、元の映像の高精細さを再現できる。

画像処理エンジンとパネルの組み合わせで実現するシネマ4Kシステム。それによって既存のBDコンテンツを4Kに近い解像度で表示できる

このシステムを投入したテレビとして、グローバル市場に対して58V型、65V型、84V型の3つのサイズの4Kテレビを展開していく。今春から発売し、「本気で4Kを出す」(同)意向だ。このうち、58V/65V型の2モデルは「1インチ1万円を切る価格」(同)を実現したい考えで、「この価格で、4K画質が家庭で楽しめる」と深串氏は意気込む。

ハイエンドの大画面4Kテレビをグローバル市場に投入する

同社では、2013年度に58V型以上のテレビでの4Kモデルの構成比率を40%にまで高め、15年度には90%まで拡大したい考えだ。

4Kテレビの構成比率

4Kテレビのラインナップはすでに発表していたが、今回詳細なサイズが明らかにされたほか、以前に比べて画質の作り込みが進んだとしており、深串氏は「かなり工夫して作り込んでおり、他社とは画質を比べて欲しい」と自信を見せる。価格に関しては、58V/65V型で戦略的な価格で普及を目指す考えだが、84V型に関しては高価格帯になる見込みだ。