慌ただしく過ぎた2012年も残すところあと数日で終える。Microsoftは一年の締めくくりとして、自社新製品やサービスなど今年一年間に起きた出来事を振り返る動画をYouTubeの公式ページで公開した。今年最後となる本レポートでは、この動画「2012: A Year of Microsoft Milestones」を紹介しつつ、今年一年を締めくくる。

Microsoftの一年を描いた動画「2012: A Year of Microsoft Milestones」

最新OSとなるWindows 8やWindows Server 2012、Windows Phone 8など、多くの新製品を発表したMicrosoftだが、同社は2012年の締めくくりとして今年起きた出来事をまとめた動画を作成したと、自社ブログである「Next at Microsoft」で発表した。同サイトの編集者であるSteve Clayton(スティーブ・クレイトン)氏の記事からリンクをたどると、YouTubeのMicrosoft公式ページに貼られた動画を視聴できる。二分半程度の短い動画だが、お忙しい方のためにその内容をかいつまんで紹介しよう。

動画は2月から始まり、「Kinect for Windows」の発表を取り上げている。本レポートでも何度か取り上げたとおりKinect for Windowsは、Microsoftが提唱するGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)に代わる新しい概念「NUI(ナチュラルユーザーインターフェース)」を具現化したデバイスだ。マウスというデバイスをDouglas Engelbart(ダグラス・エンゲルバート)氏が発表してから51年もの月日が経った今こそ、我々はより直感的なUIを手にすべきではないだろうか(図01)。

図01 2月は今後のNUI(Natural User Interface)を支える「Kinect for Windows」を発表

Kinect for Windowsだけでは、NUIが本来目指す、人間の五感や音声対話システムなどすべてを満たすことはできないが、少なくとも人の動作によって操作を行うことを実現したのは大きな第一歩である。動画では米国の起業家であるNicolas Tisserand(ニコラ・ティスランド)氏(Kinectを用いたリアルタイム3Dスキャナー「skanect」を開発・販売するMANCTLのCEO)の発言「これが未来だ」を引用。現在のKinect for Windowsは黎明期を出ていないが、今後コンピューターのあり方を左右する存在になるのは間違いないだろう(図02)。

図02 動画では米国の起業家であるNicolas Tisserand(ニコラ・ティスランド)氏の発言を引用している

3月は2007年頃から巷を騒がせたトロイの木馬型マルウェア「ZeuS(ゼウス)」の壊滅を取り上げている。そもそもZeuSはオンラインバンクなどのサインインに用いるユーザー情報を収集するマルウェア。コンピューターに保存した個人情報やキーボードの入力を盗み取るキーロガー機能を備えている。ZeuSが繁殖した理由の一つが、ZeuSファミリーを開発するGUIツールがアンダーグラウンドで売買されており、2011年中頃にはソースコードが流出したことで、多くの亜種が登場した(図03)。

図03 3月は世界中にもっとも広まったと言われるトロイの木馬型マルウェア「ZeuS」の壊滅を取り上げている

感染経路として主に英語のSPAMメールが用いられたことから日本国内の被害は少なく、ZeuS自体の名を聞いたことのない方も多いだろう。海外では大きな被害を出しているZeuSの撲滅に注力してきたが、MicrosoftはDigital Crimes Unit(デジタル犯罪部)を設立し、ZeuSによるサイバー犯罪に対応(図04)。

図04 サイバー犯罪集団の拠点に踏み込み、ZeuSを用いたボットネットを停止した

金融関係企業やセキュリティ企業と協力した調査を進めた結果、連邦保安官らと共同でサイバー犯罪集団の拠点に踏み込み、ZeuSを用いたボットネットを停止したと自社のブログ「The Official Microsoft Blog」やプレスリリースで発表したのは記憶に新しい。なお、こちらは米国のセキュリティ企業KyrusのCEOであるMichael Tanji(マイケル・タンジ)氏の「これは画期的な取り組みだ」という発言を動画に用いている(図05)。

図05 動画ではセキュリティ企業KyrusのCEOであるMichael Tanji(マイケル・タンジ)氏の発言を引用していた

4月は「SQL Server 2012」。改めて説明するまでもなく同社のリレーショナルデータベース管理システムである。会社の売り上げ情報や社員情報、大規模オンラインショップのバックボーンシステムなど、ビジネスシーンには欠かせないソフトウェアだが、最新版となるSQL Server 2012は、エディション構成を整理統合し、Standard/Business/Enterpriseと三つのエディションを用意。Windows Server Coreに対応し、修正プログラム適用回数の削減やパフォーマンスの向上、機能統合によって可用性を高めている(図06)。

図06 4月は同社のリレーショナルデータベース管理システム「SQL Server 2012」のリリースをピックアップ

こちらのコメントはソーシャルメディア上で個人や組織の影響力を測るサービスを展開している「Klout(クラウト)」のエンジニアリング担当副社長David Mariani(デッド・マリアーニ)氏。「Microsoftのデータプラットフォームの進展は、我々が常に進化する世界中のデータに追従する手助けとなる」という発言を動画に引用していた(図07)。

図07 ソーシャルネットワーク系サービスを展開する企業KloutのDavid Mariani(デッド・マリアーニ)氏の発言を引用

5月は新しい「Bing」をピックアップ。こちらも改めて説明するまでもなく有名なMicrosoftのWeb検索サービスである。Yahoo!やGoogleなど先を行く同サービスに追い着け追い越せの勢いで機能拡張を続けており、今年5月にはFacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークサービスのデータを取り込んだソーシャル検索機能を搭載(図08)。

図08 5月は同社の検索サイト「Bing」のリニューアルを取り上げている

検索結果ページを既存の検索結果、関連情報を表示するスナップショット、前述したソーシャル機能をまとめたサイドバーと三つのカラムで構成し、より現実に即した検索結果を提供している。こちらのコメントは個人ではなく米国メディアのBusiness Insider(ビジネス・インサイダー)。「Microsoftはソーシャルネットワーク検索でGoogleに痛手を与えた」というコメントを引用している。日々進化するBingが検索サイトのトップに立つ可能性が近づいているのかも知れない(図09)。

図09 米国メディア「Business Insider(ビジネス・インサイダー)」のコメントを引用

6月は「Microsoft Surface(サーフェス)」の発表を取り上げた。同デバイスはMicrosoft初の自社製コンピューターとなり、多くの注目を集めたのは記憶に新しい。残念ながら日本国内での販売は見送られ、Intel製プロセッサおよびWindows 8 Proを搭載したSurface Proモデルの発売は2013年1月とまだ先の話。既存のWindows RTモデルは、Touch Coverに対する亀裂で本体の配線が露出するなどの不具合が報告されるなど、出航は順風満帆とは言い難い。それでも、同社がコンピューター本体という分野に手を広げたのはIT業界を大きく揺るがした(図10)。

図10 6月は自社製Windows RTデバイスとなる「Microsoft Surface」を取り上げた

こちらの引用コメントは日本語版も提供しているガジェットやインターネットなど幅広いテーマを扱うブログメディア「Gizmode」。こちらの記事から引用し、「我々が見てきた中で、もっとも刺激的なデバイスの一つ」というコメントを用いていた。確かに興味深いデバイスであるのは事実であることは理解できるし、Windows 8のモダンUIを最大限に活用するのであれば、タッチ機能をサポートしたタブレット型コンピューターが欠かせないのも事実である。しかしデバイスの価格面では、ライバルであるiPadやAndroid端末に大きく水をあけられている現状を踏まえれば、Microsoftは戦略転換が必要ではないだろうか(図11)。

図11 ブログメディア「Gizmode」の記事からコメントを引用していた

7月は新しいOfficeをピックアップ。「Unveiling the new Office(ベールを脱いだ新しいOffice)」と題し、2013年上半期に発売予定となる「新しいOffice」を手短に紹介した。既に「Microsoft Officeカスタマープレビュー」としてコンシューマーユーザーや企業ユーザーにプレビュー版を公開し、MSDNやTechNet加入者ではRTM版(Release To Manufacturing version:製造工程版)をリリースしているため、実際に使用している方も少なくないだろう。同社のオンラインストレージであるSkyDriveとの連動により、作業場面を制限しないクラウド化などが特徴の一つである(図12)。

図12 七月は「ベールを脱いだ新しいOffice」と題して「新しいOffice」を取り上げた

こちらは老舗のコンピューター系メディア「Computerworld」のコメント「これまでで最高のOffice」を動画に引用。正式発売前のため、評価コメントは控えるが、「the 2007 Microsoft Office system(Office 2007)」「Office 2010」とOfficeスイートを使い続けてきた方なら、Computerworld誌のコメントに同意できるだろう(図13)。

図13 こちらの引用コメントは老舗のコンピューター系メディア「Computerworld」から引用している

8月は「Windows Server 2012」をピックアップ。言わずもがなMicrosoftのサーバー向けOSだ。ちょうどこの時期にRTM版が完成したことからこの月になったのだろう。ちなみにSA(ソフトウェアアシュアランス)向け提供は同年9月5日、パッケージ販売は同月26日から行われた。Windows 8と同じくモダンUIを前面に押し出しているため、戸惑いの声も聞こえてくるが、コマンドラインで操作を行うServer Coreモードが用意されているため、スキルを持つIT管理者には大きな問題とはならないだろう。こちらの引用コメントは発言者が記載されておらず、ただ「Build from the cloud up for the modern datacenter.」と書かれているのみだった(図14~15)。

図14 8月は「Windows Server 2012」を取り上げている。これは同月にRTM版が完成したからだ

図15 ここのみ引用元が記載されていない。ジャストフィットするコメントが見つからなかったのだろうか

9月および10月の話題は「恩返し」と題して、若年層の進学・就労・起業を支援する包括的施策「YouthSpark(ユーススパーク)」を開始したことを取り上げている。本施策は日本マイクロソフトもプレスリリースで述べているように、「若者への直接的な支援のみならず、教職員のICTスキル向上や、タブレット端末や電子教科書など最新の学習環境の導入支援も並行して実施」すると言う(図16)。

図16 9月および10月は若年層の進学や就労、起業を支援する包括的施策「YouthSpark」をピックアップ

こちらもコメントはないものの、1983年から実施したMicrosoft従業員によるNPO団体およびコミュニティ組織に対して行われた寄付金が、十億ドルを超えた件を紹介している。ちょうど10月18日(米国時間)にMicrosoftがプレスリリースを発表していることから、本件を引用したのだろう。ちなみに同社では、従業員のボランティア活動も推奨し、NPO団体でボランティア活動を行った場合は一時間当たり17ドルをmicrosoftそのNPO団体に寄付する形で活動を支援してきた。寄付大国である米国らしい施策だ(図17)。

図17 こちらもコメントはないが、Microsoftの会長であるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が動画に登場していた

10月は他にも三つの話題を取り上げていた。一つめは「Xbox Delivers all-in-one Entertainment」と題して同月に行われたXbox 360のアップデートをピックアップ。本アップデートでディスクをセットせずに起動した際に表示されるダッシュボードデザインの変更や、Bing検索およびKinectを使った音声検索、Internet Explorer for Xboxサービスの提要開始など、Xbox 360を単なるコンシューマー向けゲーム機器から、エンターテインメントデバイスに押し上げている(図18)。

図18 10月の話題として「Xbox 360」のアップデートをピックアップ

世界的な経済誌Forbes(フォーブス)のスタッフで著名なジャーナリストDavid M. Ewalt氏の記事Microsoft Xbox Is Winning The Living Room War. Here's Whyから「Xboxはインタラクティブなテレビで最強のプレーヤーとなる」というコメントを引用していた(図19)。

図19 こちらは世界的な経済誌「Forbes」のコメントを引用していた